本の雑誌 2022年7月号 – 大槻ケンヂの充実度がよかった。

投稿日: カテゴリー

本の雑誌 2022年6月号 (No.469) / 本の雑誌社 / 700円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

「本棚が見たい」は遠藤諭。ASCII の雑誌で何度か見かけた懐かしい名前。まだ現役の編集者なんだなぁ、旧友に会ったようで素直に嬉しい。肩書きは偉い人だけど。

特集は「いま、ルポルタージュが熱い!」
毎度のように「何それ?」というスタート地点から、基礎知識を与え、興味を増やし、優秀な読書指南をする素晴らしい構成。
まず東えりか、神谷竜介、すずきたけしの座談会がいい。早瀬圭一『そして陰謀が教授を潰した』の各紙の記者が引退際に事件の資料を残していき、最後の早瀬が真相に至るとか、吉岡忍『M/世界の、憂鬱な先端』に絡めての「相対化」とか面白いのに知らないことばかり。
続いて、磯部涼、フリート横田によるルポライター対談も素晴らしい。単なる事件性への興味本位でなく、「歴史を持たない自分たちの世代ができること」、「街に出る面白さ、人に出会える喜びを伝えていきたい」。ちょっと感動しました。

月村了衛『脱北航路』にヒギンズの『脱出航路』を浮かべたのは私だけじゃないんだ、と思ったのが古山裕樹の新刊紹介。北朝鮮から日本へ亡命する潜水艦。亡命への切り札は拉致された日本人女性。面白さの要素が満載です。柴田勝家『スーサイドホーム』も面白そう。
北上次郎の新刊もいい。加納朋子『空をこえて七星のかなた』の副会長や、美人なのに気づいていないヒロインらの連作短編で、隠しテーマがあり「夢は叶う」と。新海誠みたいだ。そして町田そのこ「宙ごはん」。この雑誌広告や表紙でほんわか系じゃなく、瀬尾まいこの衣装をつけた遠田潤子とか。ちょっと怖いが読んでみたい。

大槻ケンヂ「ここは、地獄か?アルジャーノンには、花束か?」無茶苦茶面白かった。筋肉少女帯初心者にも優しいトリビアはあるし、あっち飛びこっち話題が飛びと思いきやしっかり戻ってくるし、何より今号の特集「ルポルタージュ」と数号前の「泣ける本」をカバーしている !
どうでもいいけど、「本の雑誌」で同じ書影が複数回出てくるのは珍しいのではないかな > 『ルポ川崎』。帯付きと帯なしだけど。あ、帯付きも珍しいか。

服部文祥のテーマは、意識や命の意味。狩猟を通して語る彼の視点は決して人間中心にならないのが面白い。

川口則弘は「都新聞」の下世話な記者の話。「俗にまみれた読み物」に徹するのも生き方です。
古本屋台の初めて来た女性へのおじさんの注意がいいわぁ。常連キャラになりそうな予感。
安部公房の10冊。読んだのは『砂の女』でピンとこなかった記憶です。そもそも何故か彼を大江健三郎とごっちゃにする程度だからな…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。