本の雑誌 2025年6月号 (No.504) 以心伝心じゃこ天号 / 本の雑誌社 / 900円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし
「本棚が見たい!」は日下三蔵。確かに本は多いけど汚くはなく「魔窟感」をあまり感じません。before と after で劇的な変化もなく。取り出しやすくはなったのかな…と8ページ目の上の写真を見ると、うーん、どうだろう。ただし捨てるのはツライけど、蔵書を整理できたのは楽しかったろうなと思います。
岡崎武志が3回登場。連載と、詩集(p.49)と、にわとり文庫への言及(p.54)。古本屋に憧れるおっさんライターと思っていたのに詩人だったの!? なお、にわとり文庫は浅生ハルミンがディープに触れてます(p.119)。
穂村弘は2回。連載と北村薫の言及(p.99)。確かにいい歌ですね。
「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」
特集:変な小説!
ここでの「変」とは、SFの中のちょっと変わったものと、純文学にSF味を加えた作品群と認識しました。座談会のわちゃわちゃ感が楽しい。ただし、さして特別な作品群とも思えず、金子玲介の好きな小説に倣ったらこうなっただけ、が自然に感じられました。
新刊
小山正の紹介する海外ミステリー『読書会は危険?』に横溝正史が出てきてびっくり。『占星術殺人事件』や新本格が有名とは聞いていたけど、『八つ墓村』までもが読まれているのか。wikipedia にも項目があり、翻訳も7冊。知らなかったなぁ…。
https://en.wikipedia.org/wiki/Seishi_Yokomizo
大森望はSFファン必携として『伊藤典夫評論集成』。彼らほど楽しく読めるだろうか。私は「伊藤典夫こそがSFだった時代」と若干ずれると思うんだけどな。それより天沢時生。『新しい世界を生きるための14のSF』で読んだ「ショッピング・エクスプロージョン」は無茶苦茶好きでした。
久田かおりと杉江が推すのが佐藤正午『熟柿』。良いんだろうけど厳しい読書になりそう。
連載
三万円使い放題は月村了衛。超映画好きのようで、多分ほとんどの関連本はチェック済みと思われるコメント。作品に反映されているんでしょう。
栗原康は『風呂と愛国』。「日本人はきれい好き」も明治政府が作り出した国民道徳なのだとか。なるほどなぁ。あれ、べつやくれいの紹介の『お風呂の歴史』では、鎌倉時代から入浴の習慣が盛んとあるがな。蒸し風呂に入ることを入浴と言っているのかもしれないが、べつやくれいのは明らかに湯船だし。さて。
児島青の『本なら売るほど』は書評をみかけてどれも好意的。三角窓口にもある(p.127)。買うかなぁ。今ひとつ食指が動かないのはなぜだ。
♪akiraは『変身』とデミ・ムーアの「サブスタンス」。デミ・ムーアが再生医療とか吹っ切れた感じもいいし、なんで無双するの? 面白そう。
和氣正幸が「街の本屋と独立書店の融合」という御嶽山駅の藤乃家書店は良さそうで行ってみたい。ポイントは雑誌が面陳された棚。独立書店のようなオシャレ空間の書店はローカルな町にはムードも客層も合わないよな。
urbanseaは『kotoba』から野球の話。短いエピソードでも、プロ野球選手会は本気で闘ってたし、ナベツネは本当にひどいというのがよくわかりました。
藤野眞功は小泉喜美子。P・D・ジェイムズの翻訳家としてしか知りませんでしたが、紆余曲折のあるミステリー作家でした。でも彼女は「わきまえない女」なのか?しなやかに自分らしく生きたように思えます。
服部文祥は命の期限で量子。Twitterで、そんなのトンデモだ、系の発言を見たけど、生命の発生が確率的にあり得ない数字のときに、量子にまで落ちる(?)のはありかも。シュレディンガーが80年前に量子と生命を並べてたらしい。次号に期待
青山南は翻訳家小林宏明の潔さをたたえる。「まるで最初から日本語で書かれたものを読んでいるよう、というのも好きでない。」目からウロコです。そうか、それでいいんだ。そういうものを私は読んできたし、それが好きなんだな。
すげー、円城塔は線形代数の入門書3冊。ゲームや機械学習から人気(?)が出ているのは知ってましたがここまでとは。『セガ的基礎線形代数講座』『これからの線形代数』『線形代数の半歩先』
藤岡みなみは休日を寝て過ごせない、肉体的にもだが罪悪感で。わかるわー