本の雑誌 2021年3月号 – 連載陣が強いなぁと改めて思いました。

本の雑誌 2021年3月号 (No.453) / 本の雑誌社 / 667円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

「本棚が見たい」は、先月号の特集広告で、超ベストセラー翻訳家としての登場を予想していた田口俊樹さん。羨ましいお部屋です。

特集は「もしもベストセラーを出したら」
で、その翻訳家はダン・ブラウンの越前敏弥さんでした。シリーズ関連で1720万部とか。いい話です。他も景気のいい話だからかみんな楽しそう。こんな時代なのでドラえもんの秘密道具をもらえたら、みたいな特集もいいでしょう。

「古本屋台」マスクを丁寧に外して飲みながら読書する若者…。うぅ、気づかなかった。私もおじさんに怒られるところでした。芥川龍之介は全集読んだけど、「西郷隆盛」は記憶にないな。探して読みたい。

高野秀行は「ディック作品はナチュラルドラッグである」。ドラッグも効くようになるまでは慣れが必要、酒や煙草と一緒で、もちろん最初からハイになる人、最後まで苦手な人もいるそうで、ディック作品はそれと一緒だと。こんな高い場所まで来るんですね、高野秀行はすごいわ。

新刊では『じい散歩』が強烈でした。高頭佐和子は心温まると書くけど、私には89歳の主人公、妻は認知症が始まりかけで、3人の息子は引きこもりと、事業失敗と、いつの間にか長女とか、吉野仁の紹介するカリン・スローターみたいな直接的な異常描写作品より100倍怖かったです。
藤ふくろうの紹介する『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』。「積読大量生成本」ってのがいいけど、こわいね。冬木糸一のノンフィクションは今月もいいです。♪akiraの本と映画の紹介もいいですね。『ロイヤルシアターの幽霊たち』と映画「マーメイド・イン・パリ」。久しぶりに劇場で観たい映画です。

鈴木輝一郎は「書けないときどうするか?」への、非常に具体的なノウハウを明かします。具体的過ぎて、びっくりするくらい。例えば「こうしたとき、人物の履歴書や年表を見直します。」とか。

大山顕は超高層住宅の「恐れ」。これまでの郊外に伸びた鉄道を立てたものという比喩を振り返り、人々の「恐れ」の対象として描いた本を紹介します。脇道だけど高さや人工物が住民に与える影響とやらの論破が可笑しい。偶然にも速水健朗は父の葬儀と霊柩車で似たような話を展開。あの非日常の乗り物が初登場したときは凄い抵抗だったろうなと想像します。
宮田珠己はロト6に高島易断。本屋で見かけるあの白地の本に何種類もあって、しかも東京神宮館一社で出してるなんて初めて知りましたし、中身が読み解くのに難しい内容というのも意外でした。今度見る。

しかしこの連載陣は強いよなぁ。ここに鏡明の小松左京のSF、服部文祥の動物の家畜化、岡崎武志の新宿前夜が来ます。

すごいなぁ『カンマの女王「ニューヨーカー」校正係のここだけの話』。単に校正が厳しいという話だけでなく、筆者が依ってきた「he」や「she」が消え、「they」になるのかという話もあり。これまたむちゃくちゃ面白そうだ。もちろん紹介は青山南。

平松洋子の「そばですよ」は限られたスペースで7軒を熱く紹介。少しでも宣伝になればとの思いを感じます。穏やかに美味しそうに始まった連載がこうなるとは。

円城塔の紹介する『博論日記』は漫画なんですね、きっと。カフカで文学博士とか厳しいよなぁ…。
藤岡みなみのタイムトラベラー小説は川上弘美『三度目の恋』。このタイトルで現代の主婦が江戸時代の花魁や平安時代の女官になるそうで、そんなの書くの!? と驚いています。

「もつと十分おくりたいが、とても世間は不景気で十銭の金もなかなか出すのに三度も考へるやうなしまつで。」女遍歴の塊の浮世離れした竹久夢二のような人でもお金の苦労は同じだなぁと、沢野ひとしを読みながら。

大塚真祐子は岡本かの子の10冊。岡本かの子文学碑は二子新地から北に行った所にあるようですね。機会があったら行ってみたいし、小説も面白そうだし、瀬戸内晴美の『かの子撩乱』は良いテキストになりそうです。

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