本の雑誌 2017年9月号 – 島田潤一郎は自宅からもっとも近い本屋を愛する。私もだ

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本の雑誌 2017年9月号 (No.411) / 本の雑誌社 / 667円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

「本棚が見たい!」9月の書店は HMV渋谷。新装開店当初、広々としたフロアに膨大なSFやミステリーが並べられていて、驚いたり、感動する前にまず「これで大丈夫なのか?」「この状態はいつまで続くのか?」と要らぬ心配をしたのを思い出しました。ハヤカワや創元が面陳なのはもちろん、見たことのないモノリス型の洋書の「2001年宇宙の旅」本が山積みでした。TOWER RECORDS もかっこいい空間ですが、本場の要素が強く少しだけ緊張を強いられます。それに比して HMV はあくまで日本の本屋、だけどかっこいい。BOOK 1ST 亡き今、渋谷でいつまでも続いて欲しいです。

特集は「背表紙の研究!」。

日下潤一の他人の背表紙に厳しく、自分の背表紙に優しい姿勢や、フリーフォントの「はんなり」を「バカデザイナーに流行ってる」とズケズケ言うところに人間味があって好感持てます。しかも実際の取材時間は7時間! ですから、人間的にも優れた人なのでしょう。
表紙の「片岡義男の角川文庫の背はなぜ赤だったのか、本人に直撃インタビューしてみたぞ」は煽りすぎだし、そもそも内容が異なります。それより「辻村深月の背はなぜ版元が違っても水色なのか、本人に直撃インタビューしてみたぞ」の方がよほど正しいし、内容も面白いと思います。
今月号のダブリネタは「ちくま文庫の背表紙はすぐ破れる」。高頭佐和子と沢田史郎ですから書店員あるあるみたい。今度破れているのをチェックしよう。

そしてもう一つのダブリは『最後のヴァイキング ローアル・アムンセンの生涯』。北上次郎は人間味あふれる人としての紹介の中で「三人の人妻との恋のドラマ」を冗談っぽく紹介しますが、服部文祥は登山隊の自慰やら、アムンセン隊はイヌイットとセックスしたか? (答:YES) で下世話感満載の暴露本的紹介。登山家だからこそ許される感あり。

ベルンハルト・シュリンクは新刊『階段を下りる女』も良いですが、既刊『朗読者』が良さげ(って、みんな思ったから映画化されたんだろうな)。

島田潤一郎は「二種類の本屋」で、「自宅からもっとも近い本屋を愛する。」に100%同意。オシャレ本屋も大規模本屋もネット書店も好きですが、幕の内弁当的にすべてを揃えた町の本屋を定期的に覗くのが一番好きです。
鏡明は「マカロニ・ウェスタン」という名称の秘密。へぇ、「カマンベール・ウェスタン」ねぇ。ジョン・フォードの会話もおかしい。

青山南は先月号の続きでアメリカの文芸誌のお断りメールを集めたサイトの紹介。こちら。

Literary Journals and Rejections
http://www.rejectionwiki.com/index.php?title=Literary_Journals_and_Rejections

沢野ひとしは先月号の続き。どこまでも深みにはまり込んでいるような、いないような。リアルタイムで結論はまだ出ていないはず。来年の夏までに何か良くないドラマが起きそうで、それを期待するような、しないような。

坪内祐三の仕事のまとめとしてはこのサイトが素晴らしい。編集者とかマネージャーとかかな?

http://d.hatena.ne.jp/YokoiMoppo

 

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