本の雑誌2016年2月号 – 経理の小林さんは女性だったの!?

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本の雑誌 2016年2月号 (No.392) / 本の雑誌社 / 667円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

今号はいろいろと驚きの号でした。
その第3位。「本棚が見たい!」の北原尚彦。予想していたとおりピシっと背筋が伸びたような本の並べ方。手製の本棚も美しいです。で、知らなかったのが作家だということ。ホームズ研究科兼書評家さんと思ってました。
第2位。ツボちゃんの嫁が佐久間文子。えええ。
第1位。経理の小林さんは女性。えええっーーー。勝手に初老のおじいさんを想像してこれまでのおすすめ本を解釈してたのに…。うわぁ…、ガラガラ(と、おじいさん像が崩れる)。

特集は「全日本評伝グランプリ!」。
座談会は対象が政治家、作家、芸能、スポーツと幅広いせいか、読んでいる間には散漫で、長過ぎの印象を持ちましたが、個々は優れた作品ばかりで、硬軟取り混ぜてあり、終わってみれば、あれ何だいいモノ読んだわい、と。しかもそれ以後のページへのガイド役も兼ねていて、座談会で触れているために全体から見通せる構図。素晴らしい。続けて萩原魚雷がベーブ・ルースの性欲と食欲の凄さを面白おかしく取り上げれば、とみさわ昭仁は反則技の清田益章の笑みも素敵な『超能力野郎』。内容も素敵です。一方、高山文彦の評伝に対する姿勢は鬼気迫るものがあり、安易なものにケンカを売る姿勢も含め、この人自身の評伝を読みたくなりました。普通、笹川良一の向こうを見ようとはしませんよね?
評伝(?)関連で、吉野朔実の『悲素』評もラストのコマ、音が聞こえます。

上橋菜穂子は冗談めかして締め切りのことを触れますが、背景には家族のことがあったのだろうな…。購入リストには、もちろん直接的ながんの話もありますが、どう生きるかや、人間と自然の共存の話が中心。そこに神や宗教に関するものがない点が、逆に目立ちます。課題に対して理論的に取り組む性格が出ているのでしょう。

ところで河合隼雄物語賞って初めて聞きましたが

〈選考委員〉上橋菜穂子 小川洋子 宮部みゆき (五十音順)

うわぁ、これは選考委員を選考した河合隼雄財団が凄い!! 好きな作家を呼んだだけという気もするけど :-) にしても凄い。ちなみに過去3回はこんな感じ。選考会も授賞式も楽しそうです。

第1回 西加奈子『ふくわらい』
第2回 角田光代『私のなかの彼女』
第3回 中島京子『かたづの!』

連載陣では秋葉直哉の文章が、今月もまた美しくてクラクラします。1ページ足らずのエッセイなのにここだけがキリッと締まった冬の朝のような空気が流れます。異次元。たとえば冒頭
「一滴の光もない暗闇の世界に、刀で削ることで光を見出す。」
誰か早く小説を書かせてみてはいかがですか、たとえば浜本さん?

内澤旬子は鴨田さんインタビューと化してきてこれはこれで丸。
穂村弘は図書館で本を読まれる作家の気持ちをさり気なく、他のケースも含めて描き出します。これくらいうまいとみんな気をつけるんじゃないかなぁ…。
堀部篤史は本屋開業のための物件探し。家探しはいつも苦手なので胃が痛くなります。が、「今月書いた人」を読むとすでに開業1ヶ月は過ぎていますね、休みはないそうですが…。

服部文祥は『凍える海』に対してものすごい指摘。 訳者の海津正彦と、発行元のヴィレッジブックスは英訳者にキチンと著作権を払い、落ちている分を追記すべきでは? 少なくとも訳出の段階でコンラットの後日談はあったわけだし。しかし出版の経緯として凄い話だわ。

ところでツボちゃん嫁問題を調べていて、偶然次のサイトを見つけました。熱心にツボちゃんをスクラップしていて、他の文学系ネタも含めて読んでいて飽きません。

じゃんく雑記
http://d.hatena.ne.jp/YokoiMoppo/

 

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