防潮門 – こんなに口の軽い本格冒険小説の主人公はいない

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防潮門 / アリステア・マクリーン / 沢川進訳 / 早川書房 / 1600円
装幀 生頼範義
Floodgate by Alistair MacLean

堤防が爆破され、スキポール空港に洪水が起きる。正体不明の「FFF」が犯行を表明し、オランダ国内の任意の場所での犯行を予告、実行に移していく。ファン・エッフェン警部は警察本部長ドゥ・フラーフ大佐の強力を得ながら捜査にあたる。彼は過去にアネシー兄弟を逮捕したことを恨まれ妻と子供を殺害された過去があり、FFFの犯行にも兄弟とのつながりを感じ取る。

無茶苦茶ひどいマクリーン後期の作品。本格冒険小説の主人公とは思えない自分の行動と予測を延々披露する口の軽いファン・エッフェン、まったくキャラの立たない脇役たち、「一網打尽で隠れた仲間も捕まえねば意味が無い」と散々引っ張っておいて、結局隠れた仲間のことは忘れてしまって睡眠ガスで一網打尽にしてしまうグダグダな展開。「マクリーン」ブランドとは言え、まぁよく出版できたものです。

ディック・フランシスやクライブ・カッスラーがやってるみたいに名前貸しして若手に書いてもらうか、アガサ・クリスティみたくストックがあれば良かったのにねぇ…。

 

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