アジャストメント

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アジャストメント / フィリップ・K・ディック / 大森望編 / ハヤカワ文庫SF / 940円+税
カバーデザイン : 土井宏明(ポジトロン)
Adjustment Team and Other Stroies by Philip K. Dick

古びないのはディックが偉大だからなのか翻訳のセンス(浅倉久志&大森望)が良いからなのか。ディックの短編は改めて面白いなと再認識しました。というか、情けないことにほぼすべてが既読なのに忘れています…。

読了してからしばらく放っておいたのですが、昨今の電子書籍や自炊代行の問題から、ホンモノの何百倍、何万倍のコピーが容易に作成される状況が続いたとき、モノを作る誰かを全員が待つという状況を考えたときに浮かんだのが「くずれてしまえ」。最後の木のコップとそれに対する周囲のコメントが本当に象徴的です。胸に仕込まれたテープを情報源とする現実供給装置を受けていた電気蟻のガースン。そのテープの一部を切り取ると現実の意識もその分、飛ぶ。ではテープを切ったら現実世界はどうなるのか、と仮想現実モノからは「電気蟻」 等々、楽屋オチの作品も含め、どれも本当に面白いです。

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