モチベーション 3.0 – 基本的な報酬ラインがあってこその話

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モチベーション 3.0 / ダニエル・ピンク / 大前研一訳 / 講談社α文庫 / 820円+税
デザイン: 鈴木成一デザイン室
Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us. by Daniel H. Pink, 2009

同僚に勧められて読んだ本。ビジネス書には同じ理屈のループや引用水増しのイメージがありますが、この本はとても誠実で明快。流れも自然ですし、最後にはまとめや感想のガイドまでついてきます。著者自身の「ツイッター向けまとめ」を引くと

アメとムチは前世紀の遺物。<モチベーション 3.0>によると21世紀の職場では<自律性><マスタリー><目的>へとアップグレードが必要。

生存のための食欲や性欲がモチベーション 1.0で、報酬と罰による動機づけがモチベーション 2.0。それじゃぁ現代はうまく機能しなくなったので 3.0 という話。そこでの重要な要素が、各メンバーに時間や仕事の裁量を与え、スキル獲得に喜びを覚える適度に難しいタスクをアサインし、目的を持たせることと説きます。いいですね。

私は外資系の会社に務めていますが5年くらい前からエンゲージメントやらフローやら互いへの称賛の言葉やらをよく聞くようになりましたがすべてここからだったんだと納得した次第です。

ただ著者も明確に述べているように「モチベーション 3.0」が成立するのは「基本的な報酬ライン」を満たしてから。現状を見ているとその議論は避けた上で3.0の要素を語っているように感じられるのですが…。

また冒頭に Wikipedia の例を引きオープンソースを礼賛しますが、フリーライを考えるとこれも「基本的な報酬ライン」問題。「1.0」あっての「3.0」だなと思います。

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