本の雑誌 2022年1月号 –

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本の雑誌 2022年1月号 (No.463) / 本の雑誌社 / 815円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

山崎まどかの書棚は、7月の引っ越し直後とは言え、美しい。断捨離もしっかりできた、あるいはできているのでしょう。羨ましいです。

特集は「本の雑誌が選ぶ2021年度ベスト10」

1位『嫌われた監督』とは落合博満のこと、2位『『ガロ』に人生を捧げた男』とは白取千夏雄。そして3位は今月号を通して評判の良い『高瀬庄左衛門御留書』。2位は私も読みました。途中の必死さと彼が見えていなかった図との対比に読後、虚しさというか、やるせなさというか、色々残りました。

9位、金原ひとみはそろそろ読んでみたい。萩尾望都『一度きりの大泉の話』は話題でしたが、末井昭の紹介を見ると、知らなくても良さそうな話なので読まないな。浜本編集発行人のコメントを見るとファンは感づいていたのでしょう。

鏡明のSFの1位は『三体』3部作。私も全部読んだけど、ちっとものれなかった…。
池上冬樹のミステリーは『誕生日パーティー』、『暗殺者の献身』、ルメートルの『僕が死んだあの森』。マーク・グリーニーはシリーズ第10作でこの位置だから凄い。これに、北上次郎が「2021年はこの小説を読むためにあった!」とまで言う『同士少女よ、敵を撃て』を加えて冒険小説な年でした。たった2作だけど。
佐久間文子の現代文学は『長い一日』と『つまらない住宅地のすべての家』の小説らしさ、『地下鉄道』と関連する『ウォーターダンサー』『ニッケル・ボーイズ』、そして『骨を引き上げろ』。日系ブラジル人の勝ち組、負け組の抗争を描く『灼熱』、『テスカトリポカ』…。凄い、どれも強い。
栗下直也のノンフィクションは3位『嫌われた監督』、2位『古代日本の官僚』と来て、1位は、エベレストで死んで騒ぎになった栗城史多を描く『デス・ゾーン』。どう切り取っても浮かばれない話じゃないのか、これ…。

紀田順一郎は、『妖怪少年の日々 アラマタ自伝』。自身も貴重な証言をしていいんですよ? 『『探偵小説』の考古学』は風間賢二も挙げてます。
高野秀行は『狂気の時代』『誰がために医師はいる』『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』。最後の紹介では『銀河ヒッチハイク・ガイド』が出てきて、もう完璧なSF者。
橋本照幸の紹介する『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』はずっとひっかかってます。タイトルがいいし、カバーもいい。
とみさわ昭仁の『証言モーヲタ』の紹介が面白い。吉田豪の「聞き出す力」を、初めてインタビューされる側が乗り越えた、とか。無茶苦茶濃く熱そうで、そこに100%参加できないのは残念。
今柊二は『A LONG VACATION』40周年記念盤の解説。死後の乱造ぶりにもういい加減にしろよと、一応買ったけど、封も開けてないわ。そんな内容だったのか。でもまだ複雑だ。

古本屋台のカップヌードル。ほんと、美味しそう。画面から立ち上るわ。

吉野仁のミステリー新刊。具体的にどれと言うつもりはないけど、頻出する数十年前の事件と現在の話がつながるって、どんなアクロバティックが展開するのか、そこだけは知りたいな。
藤ふくろうの推薦、ジョゼ・サラマーゴ『象の旅』は、ポルトガルからオーストリアに贈り物として旅する象と人間の話。面白そうだ。
『本にだって雄と雌があります』に続く、小田雅久仁『残月記』。大森望が5つ星。どっちも読みたい。

山岸真が紹介するアンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も評判いい。『火星の人』とセットかね。
田中香織は『星降る花屋』。一貫して優しい寄り添うような漫画を紹介していて、優しいなぁと思います。
双子のライオン堂の竹田信弥が紹介する「代わりに読む人」は、個人出版社。おぉ、破滅派の高橋文樹みたいだ。
下井草秀が紹介するのは、東京の名画座情報を集めたフリーペーパー「名画座かんぺ」。「ぴあ」亡き今、そんなものが紙メディアであったのかと驚きます。

高野秀行は『復活の日』で、小松左京を「SF思想家」と呼びます。そうでしょう、そうでしょう。

陰謀論も大槻ケンヂの手にかかるとどんどん転がります。脇だけどデヴィッド・アイクの爬虫類型宇宙人の陰謀論なんて初めて知りましたよ。軽く小馬鹿にする取り上げ方がまた良いです。

西村賢太は藤澤清造の「二十五年間探し続けていた一書」を入手する。一書って、なんだろう? 存在は知っていたわけだよな。手紙かなぁ。手紙探すかなぁ。

日下三蔵は、どんどん片付いてちょっと残念w 「『貼雑年譜』より高い水樹奈々の激レアカセットテープ」って、色々おかしいね。

宮田珠己は数字とポリープ。大丈夫、どう読んでも前半の数字のほうが楽しい。ポリープなんかあってもなくても当たり前。

風野春樹は、山崎まどかも挙げた『問題の女 本荘幽蘭伝』。明治大正を駆け抜けたバッドガール、というのもいいし、著者平山亜佐子の姿勢もいい。

堀井憲一郎はどっから出てきたんだ「英文標準問題精講」の英文紹介。この参考書は名著らしいのですが現役時代は知りませんでした。私の孤高時代の友人で東大に行った人間も同様で、家庭教師先でこの参考性を開き「いい本だねぇ、これ何?」と言ったら、教え子に絶句されたそうです。

今月号で印象的だったのは、山本文緒の人気。最近、『自転しながら公転する』のタイトルの良さで覚えている程度でした。チェックします。

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