劉慈欣『三体Ⅱ 黒暗森林』- 面白いけど傑作ではないよ

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三体Ⅱ 黒暗森林 / 劉慈欣 / 大森望、立原透耶、上原かおり、泊功訳 / 早川書房 / 上下各1700円+税
装画: 富安健一郎 / 装幀: 早川書房デザイン室
The Dark Forest by Cixin Liu, 2008

国連は、接近する三体艦隊に対するため面壁計画を立案。羅輯を始めとする4人に、智子から感知されない形での防衛計画を練らせる。一方、地球三体組織は破壁人を割り当て対抗する。羅輯は星に「呪文」を送り、冬眠する。200年後、地球の艦隊は探知機により壊滅する。羅輯は呪文の効果を得て、三体文明と交渉する。

面白い作品ですが、早川書房が宣伝で押し出すような本格作品でも傑作でもありません。

相変わらず人物描写はハリボテだし、言葉も一々軽い。すべての機械が襲ってくる冬眠明けのシーンにもスリル感なし。荘顔のシーンに至っては何がしたかったのかさえ分かりません。

宇宙社会学と黒暗森林は良いアイデアだし、呪文の効果も面白い。面壁計画と破壁人も悪くない。SF入門みたいな引用、ヤン・ウェンリーや「カチューシャ」も楽しい。けどねぇ…。なんだろう、この眼の前で繰り広げられるチャカチャカした与太話は。

エラー?

  • 下巻 p.9 危機紀元20年に、8年後として目覚めているが、冬眠に入ったのは危機紀元8年(上巻 p.266)なので計算が合わない。危機紀元12年(p.309)と間違えている?
  • 下巻 p.21 常偉思はタイラーとどこで会っている? タイラーが中国軍を査閲した際に会ったのは章北海(上巻 p.199)

「伊藤典夫訳」(下巻 p.210)は大森望のリスペクト

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