本の雑誌 2020年10月号 – 小塚麻衣子の魔机がすべてを持っていった

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本の雑誌 2020年10月号 (No.448) / 本の雑誌社 / 667円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

特集は「この机がすごい!」

本当にすごくてびっくりします。Twitter では発売直後からアイキャッチ的に使われた早川書房の小塚麻衣子の机が話題でした。一見、ただの物置きにしか見えませんが、よく見ると左側に水筒が置かれていてここに人が座る可能性を示唆します。実際には座るだけでなくここでゲラを広げるとか。企業物ドラマの敏腕編集長の机のようです。

そんな彼女も2018年11月号「本の雑誌」では「本棚が見たい!」に出ています。お祖父さんの代からの書棚にお父さんが整理した本や雑誌が並んだ綺麗なのにどこか雑然としたマニアの本棚。憧れです。

魔机のカラー写真はこちらから。小塚さんと対談した新潮社の青木大輔は紙面でも加工されていましたから写っちゃいけない書影があるのかな。そのせいで無傷なのはずるいw
坪松博之の開高健の机の話は慌ただしい中に生きた証を見るしっとりした話。編集部松村のコメントもあって『用字便覧』を手にとってみたくなりました。

読者アンケート「この人物伝が好きだ!」の『「戦場のピアニスト」を救ったドイツ国防軍将校』は紹介された本もですが映画も観てみたい。将校ヴィルム・ホーゼンフェルト役はトーマス・クレッチマン。

田代靖久は情報センター出版局星山局長の仕事ぶりについて。年間30点の新刊を文字通り一人で作る男の話。企画、編集、販売から新聞広告まで。仕事楽しかったろうなぁと想像します。ますます先月号で触れていたの門外不出「企画の三要素」が知りたくなりました。

新刊では『スパイはいまも謀略の地に』。ル・カレが2019年の今もスパイ小説を書き、しかもそれが面白いらしいことに感心します。マクリーンやヒギンズが後半駄目になったのとえらい差です。

鈴木輝一郎。下段、右から2段落目の段組みがおかしい。こんなの初めて見た。

宮田珠己。「断捨離とは、ただものを減らすだけでなく、いっしょに将来の夢も捨てることなのだった。」捨てるたびに教訓が増えてます。

山本貴光は「創世記」冒頭の注釈をマルジナリアとして紹介。単純にデザインとしてかっこいい。実物はこちらhttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:Biblia_latina_Stra%C3%9Fburg_1481_Genesis_I_(Isny).jpg

マンションポエムはまさかの新海誠「だれかのまなざし」。野村不動産 PROUD のタイアップCMです。父と娘の「愛」の中にジェンダーと漂うバブル臭を見つけます。そう読むかぁ…。
大山顕は今号のページで初めてマンションポエムとの距離を感じたそうですが、逆に文章は活き活きとしていました。ポエムがジェンダーやバブルと馴染むからなんでしょうね。

中場利一の鬼花は最終回。偶然に頼らずにはこうするしかないんだろうけど、少々やりきれない終わり方。苦い。

円城塔はたおやかにアリストテレスのラグーンを描きます。いいわあ。
風野春樹はマーベルの新しい漫画「ワスプ」の紹介。日本人女性2人が作画を担当する、多様な科学少女チームが秘密結社と戦う物語。多国籍のメンバーにレズビアン。マーベルも気を遣ってんなぁ…と思っていたら、主人公には双極性障害でバトルでパニクる。うーん、そこまで行かなきゃ駄目ですか…。

そして今号も読みたい未読本に触れていて読めないページがいくつか。楽しみにしていた速水健朗は『深夜プラス1』。高野秀行は前半は『着せる女』だったから良いけど、後半は『カエアンの聖衣』。残念です。

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