本の雑誌 2020年6月号 – 服部文祥の推薦が上手すぎる、トミー・コールドウェル『ザ・プッシュ ヨセミテ エル・キャプテンに懸けたクライマーの軌跡』

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本の雑誌 2020年6月号 (No.444) / 本の雑誌社 / 667円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

FAX の導入で大騒ぎしていた編集部がリモートワークで雑誌を作れるんだから隔世の感がありますな。大変だったと思いますがクオリティは下がっていません。

特集は「翻訳出版の現在!」

タトル・モリエイジェンシーインタビューが面白かったです。なんとなく想像していたプロセスや取り決めを詳細に説明しています。またコミックス以外でも、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』1200万部、『嫌われる勇気』500万部と輸出が健闘しいるのには驚きました。シティ・ポップスブームもそうですが国境はどんどん越えて行ってるのですね。コロナ騒ぎが落ち着いたら日本ユニ・エージェンシーの取材も是非、お願いします。

新刊では林さかなの紹介する『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』が面白そう。1つの言葉をめぐる冒険小説が14個もあるとか。訳者の多さは翻訳の大変さを物語っています。
冬木糸一のノンフィクションは全部良さげ。特に大山顕『新写真論 スマホと顔』のカメラや写真の意味がスマホの登場前と後とでの対比が楽しみです。これはシンヤさんに勧めねば。

その大山顕は「鉄道依存性方向音痴」。3.11の際に通勤電車の路線に沿って歩いてしまった例を挙げますが、私がまさにそれ。だって道が分からないんですもん。「ぼくらは東京を方角ではなく、もっぱら「吊革につかまって何分か」だけで把握している。」。いやほんとに。そして246がどんなにうねっていてもそこから離れられなかったのも同じ。道路標識は自動車のためにあって歩行者のためにはないのです。

突然クロスワードの答えは「つきあかり」。何の意味があるのか不明。なぜクロスワードなのかも不明。でも、そこがいい。

「マルジナリアでつかまえて」で紹介されるサイトが RareMaps.com (https://www.raremaps.com/) の中の地図
https://www.raremaps.com/gallery/detail/59182/1st-sheet-of-de-witts-state-map-of-new-york-with-contempor-de-witt
うーん、実際に地図を見るより山本貴光の解説のほうが面白いぞw

なお2020年6月号のユリイカは「地図の世界」で、大山顕、山本貴光が掲載されています。

服部文祥は国の威信を懸けた未踏峰の初登頂合戦が、ドリルで穴をあけボルトを打ち込む人工登攀にまで行き着いた反動で、自然に何も手を加えないフリークライミングが出てきた、と簡潔に登山の歴史を振り返った上でトミー・コールドウェル『ザ・プッシュ ヨセミテ エル・キャプテンに懸けたクライマーの軌跡』を紹介。うますぎる!これは読みたい!

萩原魚雷は吉行淳之介の10冊。ほとんど品切・絶版なのが逆にこれらの本を何度も読み、何度も救われた感じがします。

また読んでないディック本『市に虎声あらん』が文庫化。初版時の扱いが地味でつまんなさそうなのイメージだったけどどうだろう。
田中香織が紹介するのは山口つばさ『ブルーピリオド』。絵を描く高校生の話みたいで、これでマンガ大賞なんだからよほど熱いんでしょう。聞いただけで泣きそう。

下井草秀が紹介するのは博報堂の発行する雑誌「広告」。414号は特集「著作」で、オリジナル版2000円、コピー版200円。413号は特集「価値」で1円。攻め過ぎだろう、素晴らしい。

西村賢太。ここから流れた原稿のうち…とサラリと。公にしていいの?

中場利一「鬼花」は急転直下。カタルシスはあるけどオニヤスにはもう少し活躍して往生際の悪さを見せてほしかったような…。最後に登場した弁護士から続くのだろうか?

三角窓口が中高年化、老齢化しているのは仕方ないとしても、新聞の投書欄のような「私が投稿する理由」とかは掲載しなくてもいいと思うがどうか。常連以外ははがきが少ないのだろうか? そういう私も過去に2回くらいしか葉書を出したことがないが。

風野春樹が紹介するのは馬部隆弘『椿井文書 日本最大級の偽文書』。江戸時代後期に偽文書を作っていた輩がいて、現代でそれが史実化した話。おもしろすぎるだろ。

堀井慶一郎は解説目録から「傑作」と「名作」をピックアップ。意外と面白いし、後半の羅列でふざけてないのも、らしくないけど、良い。
沢野ひとしはまりや書店と室生犀星全集の書。視線が画家っぽく感じます。

吉田伸子が定期購読料を払いに本の雑誌編集部へ行っている。編集部訪問にはその手があったか!
… と思っていたら編集部に注文していた本の消費税を忘れて振り込んでしまい、浜田さんにやさしく「次回にプラスしていだだけると助かります。」とのコメントを頂いてしまいました。持参するか、60円。

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