本の雑誌 2019年6月号 – 本の雑誌スッキリ隊にびっくり

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本の雑誌 2019年6月号 (No.432) / 本の雑誌社 / 667円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

今月号のびっくりは「本の雑誌スッキリ隊」。個人の本棚を片付けてくれて、古書店が明朗会計で買ってくれるそうです。しかも古書店側の利益の一部は本の雑誌社に流れ、さらに希望者には中村規カメラマンが絶景書棚を撮ってくれるとか。果たしてどんな応募があるのか楽しみです。

ところで私の「本の雑誌」バックナンバーはいくらになるのでしょう? 帯は全部あり(2冊だけだけど)、「本屋大賞」や「おすすめ文庫王国」もコンプです。

特集は「本の街の秘境に挑め!」
古書店関係者でないと見られない神保町の古書交換会とバーゲンブック店売りのリポートや、八木書店会長インタビューをじっくり読ませる良い特集です。
会長のお客様視点が良いですね。私も初めて東京に来た時、古書店街に行こうと JR 神田駅で降りて困惑しましたので、初心者の気持ちがよく分かります。神保町を「本の街」と強調しているのはそうした誤解を解きたい思いがあるのだとか。最後の「家業を続けられる街」も素晴らしい。

重松清の図書カード3万円使い放題では、早稲田大学で担当するゼミの主題「街を歩き、街を描く」に沿った本を中心にお買い上げ。選んだ本の背景や狙い、学生への期待が丁寧に書いてありとても良いガイドになっています。

新刊では月村了衛『悪の五輪』。1964年の東京オリンピック公式記録映画監督を巡るヤクザの抗争劇とは、凄いところに目を付けたなと。周囲を取り巻く「悪」の話も面白そうです。
異常に盛り上がっている「ゲーム・オブ・スローンズ」って、「氷と炎の歌」のドラマ化だったの!? と驚いたジョージ・R・R・マーティンの新作は短編集『ナイトフライヤー』。新潮文庫にキング名義で出たアンソロジー『ナイト・フライヤー』がありましたが、あのタイトル作はマーティンだったのかしらと調べたら、れっきとしたキングの作品でした。ちなみにマーティンは収録されていません。

西村賢太は角川文庫版『どうで死ぬ身の一踊り』が気になりました。それ以上に、編集の山田先生の事情も気になりました。

期待の鈴木輝一郎の作家生き残り術は、他人に笑われてもいいから宣伝して売ってから、次に続けろと、至極真っ当で最近の SNS 内でも強調されている論を展開しました。例えばこちら。http://yashiroazuki.blog.jp/archives/18138482.html

服部文祥の人工知能を巡る考察は面白いですね。釣りをするロボットを考察し、その意味に思いを巡らし、果たして将棋に勝った人工知能は嬉しいのだろうか? と問います。

速水健朗は大藪春彦『汚れた英雄』。映画版で草刈正雄が演じた主人公は原作では戦災孤児なんですね、時代だぁ…。で、呆れるばかりの人物設定については、「これを荒唐無稽と指摘しても意味がない。大藪春彦という作家そのものが成立しなくなる。」とのこと。前回の「私をスキーに連れてって」でも思いましたが、自分の好みや価値基準と、批評の対象を分けて論じる姿勢は良いですね。私はなかなかできません。

つぼちゃんが明かしているけど、『本の雑誌』の1月号アンケート「私のベスト3」の原稿料は 5,000円の図書カードらしい。

青山南は競走馬「ステイ・フーリッシュ」から『ホール・アース・カタログ』の紹介。シアーズのカタログと注文用のノートだけが置いてある無人店舗なんてのが昔はあったんですね。そのシアーズも消えてしまいましたが。

堀井慶一郎は夏目漱石が死んだ際の『明暗』の連載と死亡記事について。漱石は朝日新聞の本社記者なんですよね、すぐ忘れます。で、扱いは大山巌の方が断然大きかったとのこと。軍人が英雄の時代です。あと当然ですが最初から「第一次世界大戦」があったわけではなく、そのときは「欧州大乱」または「欧州大戦」だったとか。響きがかっこいいな。

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