本の雑誌 2019年4月号 – 速水健朗のモーター文学のすすめが良い

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本の雑誌 2019年4月号 (No.430) / 本の雑誌社 / 667円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

「本棚が見たい!」に登場した穂村弘の本棚は、大判の珍しい本を無造作に突っ込むスタイルで雑然としていました。自作や漫画が小綺麗に並んでいるのだろうと思っていたので意外でした。

特集は「昭和ミステリー秘宝館」

力のある特集なのでしょうが興味のない分野のため残念ながらピンと来ません。しかし、ファンもここまで行くと見事だなと思った「探偵随想」の秋田稔インタビューは面白い記事でした。聞き手の芦辺拓は誰なんだろう、『ダブル・ミステリ』の仕掛けは凄いけど、と感心していたら「読み物作家ガイド」に登場。サービス精神旺盛で探偵小説が大好きそうな作家さんでした。『金田一耕助VS明智小五郎』に『帝都探偵大戦』ですからね。インタビュアーとしてぴったりの人選だったわけです。

今月号のダブリは図書カード3万円使い放題で登場した武田砂鉄と服部文祥が紹介した「みすず書房の月刊機関誌「みすず」1、2月号合併号の読者アンケート」。「知識階層」による「後世に残すべき良本」が紹介されているそうです。怖いもの見たさで見てみたい。

読者アンケートは「私の青春の一冊!」。内容よりもそのタイトルが含む読者の高齢化が寂しいです。もちろん懐かしい本が多い。関連してツボちゃんの『文学雑誌』の紹介もなんとも…。

椎名誠がいしいひさいちに対して「何とか早く完全復活して」と書いていますが、つげ義春はともかく朝日新聞に連載している漫画家に完全復活ってなんだ? と思うのだけど、単行本が出てないと完全じゃないのだろうか。

新刊は書店でも目についたラヴィ・ティドハー『黒き微睡みの囚人』。ヒトラーが平行世界で探偵するそうですが、これは欧米で許されるのか? 作者がイスラエル生まれだからいいのか?
同種の本を3冊くらい持っていて、しかも全部未読なので見送っていた「2001年宇宙の旅」のノンフィクション本、マイケル・ベンソン『2001:キューブリック、クラーク』は、大森望によると「ファン必読の名著」らしい…。
エイドリアン・マッキンティ『アイル・ビー・ゴーン』は島田荘司『占星術殺人事件』(の翻訳版『The Tokyo zodiac murder』)に影響を受けたものだそうで、ときどきこの作品の国内外に与える影響を聞くのでそろそろ読んでみたいと思います。

内澤旬子はやっぱり最終回でした。良い連載でしたね。次回作を楽しみにしています。
速水健朗は高村薫『冷血』の続き。登場人物の一言「シケてるな」に込めた作者の思いを街の歴史や時代背景を絡めて読み取ります。先月号の GT-R も含め、うまいです。
「鉛筆と手書き原稿」をなぜか青山南と思って読み終えたので、頁を捲ってまた出てきてびっくり。鉛筆やボールペンを何百本も持っている鏡明でした。
平松洋子は落語風の語りで器用なところを見せてくれます。小伝馬町「おか田」は会社から近いので行ってみます。

偶然だと思いますが石川美南と風野春樹の見開きは詩と死。岡村敏子の詩は直接的ですがその分、悲しみが直に伝わりました。

堀井憲一郎の「ジャンバルジャンがどれくらい出てこないか」は笑いを通り越して、関心さえする大研究。偉ぶらずに書いているところがまた凄い。この人はよくわからない。

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