WEB+DB PRESS Vol.102 – 備えよ常に

WEB+DB PRESS Vol.102 2017年12月発売 / 技術評論社 / 1480円+税
表紙デザイン: 柴田昌房(30A) 表紙イラスト: 玉川正和 (えのみちプロダクション)

特集1は「はじめてのペアプロ/モブプロ」

XP エクストリーム・プログラミングが登場した時、一番多かった批判、というか、もうまったくのナンセンスとして捉えられていたのが「ペアプログラミング」でした。これは何も私だけの感想でなく、全体の総意であったのは確かで、一番の批判の理由は「人月単位で働いているんだから無理」という身も蓋もないものでした。「大規模なソフトウエア開発」= 「どっかの大規模案件」の時代ですから仕方ありませんよね。これは今も変わらない現場が多いでしょう。

著者は、クラウドと GitHub の登場がすべてを変え、ある程度の規模のソフトウエアを内製で開発できるようになり、真の効率を求めた結果、ふたたびペアプログラミングの意義が再発見されたと主張します。なるほど。GitHub のレビューの時間がボトルネックだ、というのも驚きです。

第3章の実践ノウハウが素晴らしいです。開発環境の違い、たとえば1台のキーボードとディスプレイは良いとして、各自が使い慣れたエディターはどうするの? とか 貢献の度合いをどう評価するの? とか。実施しているからこそのリアルなノウハウが紹介されます。

身につまされるのが「一説では、プログラマーのうち2割は、ペアプログラミングがどうしても苦手で、受け付けないと言われています。」とか。うーん。

特集2は「サービス改善ノウハウ大公開」

こうしたら良くなるはずだ、ではなくて、こうしたら良くなった、と数値を上げて改善の前と後をしっかり比較します。実に技術誌らしい記事。日経電子版の速度改善は一時期話題でしたね。

特集3は「React Native」

JavaScript のシングルソースコードで iOS と Android の双方をサポートするというもの。結局はネイティブ開発になるのだろうと思っていたので、意外にも使えるんだという実例の紹介がよかったです。ただし、きっちり注意書きされていますが、ネイティブコードの学習は必須。デバッグも含めた開発効率を考えるとどうなんですかね。

記念エッセイ「あのときの決断」

個人的な好みは、設楽さんの決断しない決断術。大きな決断をしなくて済むように日々、小さな決断をしたり、準備をしたりするというもの。分かってはいてもなかなか実践が難しいですがね。ボーイスカウトの「備えよ常に」を思い出しました。

広告記事ですが冒頭の KADOKAWA のエンジニアの話。本や出版と IT の融合はまだやれることがあると思っているので、ちょっとうらやましかったです。

 

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