インターステラー
監督: クリストファー・ノーラン / 2014年
2014/12/29(月) 六本木TOHOシネマズ スクリーン1
まさかここまで本格的な SF作品とは思いませんでした。
TV-CMから親と娘の愛情劇とか、隠している陰謀劇かと思っていたら、重力とか、5次元空間とか、ワームホールとかをストーリーにとり込み、かつ、逃げずに描いた素晴らしいSF作品でした。
だからと言って天文学者カール・セーガンの原作を正直に映画化した『コンタクト』のような地味な仕上がりでなく、それなりのエンターテインメントに仕立てあげているのは立派。その中で親子の愛情シーンもしっかり描き、特に娘の最後のシーンでの、あっさりした別れはうまかったです。一点、マット・デイモンの後半は不要だったと思います。遠足のシーンから嫌な予感がしましたが、予想通りのチープな人間ドラマでがっかり。盛り上げたい気持は分かりますが、プロジェクト全体に仕掛けられた大きな策略で十分魅力的です。ここは自身を持って欲しかった所です。
最近のVFXは素晴らしいものばかり。本作品では小さな頃から夢見ていたチューブ型の巨大宇宙ステーションが、短いシーンながらも描かれていたのも印象的。その直後の引きのシーンではカーテンが邪魔していて見えず残念でしたが、ビールを飲んでいるシーンではチューブの中心部向こう側から、鏡か太陽かの陽が差し込んでいるところが素敵でした。
また、無音シーンと宇宙シーンのリアルな組み合わせも効果的でしたし、製作陣の想像力が試される別次元シーンもよかったですね。挙げると、球体で描かれたスターゲート(これ、前例があるのかしらん?)、4次元立方体の書棚の裏側、それの折り畳み等々。あ、コンピュータも可愛いです。
….。
と、ここまで書いていて、どこかで引っかかっているのは、やはり既視感が強いため。それがこの映画の評価を下げるわけではありませんが、星野之宣『2001夜物語』の完全映画化と謳ってもいいんじゃないかと思う部分はあります。もちろんクラークの『2001年宇宙の旅』も浮かびます。土星のそばのスターゲート、そこを抜けるシーン、人とコンピュータの異世界での会話(これは『2010年宇宙の旅』以降)、そしてコンピュータの造形。真似とかパクリとか、そんなレベルでなく、嘘をつかずにSFを語ろうとすると似てしまうんですかねぇ…。
あと偶然と思うけどクーパーという名前とオープニングからは『ライトスタッフ』も浮かびますね。