本の雑誌2013年1月号 (No.355)

本の雑誌 2013年1月号 (No.355) / 本の雑誌社 / 762円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

三角窓口に「本の雑誌がうらやましい」として、神保町の活気に驚く宮崎の中学校教諭の投稿があります。私も同郷(しかも郡部!)なので、その気持ち、よーく分かります。今月の一冊の『神保町の窓から』にもあるように人と本で溢れかえっていますものね。加えて本誌のベストや、SFのベスト10、選外の一覧、ミステリーのベスト10、どの評を読んでも面白そうですし、国内、国外の比率も同じくらい。これで売れてないの!? と思います…。

で、特集は恒例「本の雑誌が選ぶ2012年度ベスト10」。
いつものように『ソロモンの偽証』や『64』のような他所で評価され、かつ、放っておいても売れていく作品を別枠扱い(実際、年末年始はよく見かけました)しての順位付け。もう順位を書いても良いでしょう。

1位 『人間仮免中』 卯月妙子
2位 『紙の月』 角田光代
3位 『ピダハン』 D・L・エヴェレット

1位は読むと痛そうな実録風の漫画なので、そっとしておきたいです。「マンガ・エロティクス・エフ」で絵柄やキャラも知っているので、ますます…。2位、3位は「本の雑誌」らしいですね。でも一番読みたいのは4位の大沢在昌『小説講座』。読書の前後で明らかに本の読み方が変わる、しかも、読んでる小説が何故つまらないのかが論理的に分かるようになるらしいです。これは楽しみです。
他には『特撮映画美術監督 井上泰幸』『僕らのヒットパレード』(最近、片岡義男の名前をよく見ます)『無罪』『青い脂』等々。奇妙な本ばかり紹介している柳下毅一郎の『新世紀読書大全』はきっとそれで満ちているのでしょう。読みたいような怖いような。

渡邊十絲子は『僕たちのゲーム史』に対して著者の志の高さと細部にみちた愛を絶賛しています。彼女自身の、新書に対する志の高さと愛を私は絶賛します。同じテンションの高さを見るトヨザキ社長は『本にだって雄と雌があります』。どうりで勝手に本が増えるわけだ。

円城塔が紹介するヘンリエッタの細胞の話しは興味深い。試験官の中で使用される人間の細胞に対する実験はほぼ一人の細胞から培養されたものとか。それを死んだ本人にも遺族にも断りがなく、一方で巨額のビジネスとなっている。ほんと小説だわ。

新刊紹介ではハマザキタクの紹介するノンフィクション郡がどれも魅力的。特に日本の外国向けパンフ類をビジュアルに紹介する『BOOKS OF JAPAN 1931-1972』はデザインするものにとってはネタ帳としても有用そうです。
北上次郎は畑野智美推し。まだGoogle IMEにも出てこなければ、Wikipedia にもエントリーなし。有名とと思ってしまうのは「本の雑誌」の読者だからか。

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