本の雑誌2012年1月号 (No.343)

本の雑誌343号
本の雑誌 2012年1月号 (No.343) / 本の雑誌社 / 762円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

毎月思いますがクロ日記はつらいなぁ…。

特集は「本の雑誌が選ぶ2011年度ベスト10」。浜本編集長一人が否定して『マザーズ』が2位。「私のベスト3」でも評判がいい作品(除・田口久美子)ですが、これぞ「本の雑誌」流。いいと思います。話しはそれますが、この選出方法で「おすすめ文庫王国 2012」1位の『ビブリア古書堂の事件手帖』なんて今やランキング1位ですからね、素晴らしい。さて、元に戻ると1位は『なずな』、3位に『ジェノサイド』を置き力強いベストテンです。続く「読者が選んだベスト1」。常連もそうでない人も皆力のこもった推薦の弁をまくしたて初期本の雑誌の三角窓口のよう。熱い!
鏡明は3.11と絡めた『ダークグレン』評がおもしろい。『ねじまき少女』が表のベストなら裏ベストは『ダークグレン』(1)ということになるのでしょう。池上冬樹は『二流小説家』の前に矢作俊彦『引縕/ENGINE』を。どちらもジャンル小説の枠を超えた作品です。

浜本さんお宝本の『世界の夢の本屋さん』もいい本。その言及もある今月の一冊では『少年少女昭和ミステリ美術館』。1冊1ページでカバー絵を紹介する愛情あふれる本。こういう本を出し続ける限り、電子書籍なんて怖くないと思うのだけどね。

穂村弘のエッセイには胸が苦しくなりました。すっかり忘れていた、読書しながら「自分の人生には何も起こらないんじゃないか、という漠然とした予感」を抱いた自分を思い出します。厳しい。
『ブエノスアイレス食堂』。順番としてトヨザキ社長のページを後ろに持ってきたほうがよかったのではないかな? 榎本文昌の慎重な書き方が台無しです。その榎本文昌の薦める本はどれも面白そう。内田剛の本も良さそうだが流行語はなくてもいいんでは? 北上次郎のは『シャンタラム』より『パリの秘密』を読みたくなりました。
『仏教、本当の教え』の帯は三ツ星で「壮大な伝言ゲームの果てに。」確かにページを開きたくなりますね。
他に『アバタンチュール』『こなもん屋馬子』『二流小説家』『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』『いい女vs.いい女』、ショーン・タン。ネコ好きにはたまらない『ミツ』。

残念だったのは新刊クロスレビュー。何のためにやっているのか理解できない人選と対象。『マザーズ』のときのような多面性が欲しいです。

ところでキムラ弁護士に解説を頼んだ講談社文庫はエライ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です