本の雑誌8月号 (No.326)

本の雑誌 8月号 (No.326) / 本の雑誌社 / 705円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

特集は「上半期ベスト1」。それぞれの小説の面白さがコンパクトに述べられる良い導入。年度末ベスト10の、とっちらかった座談会と異なり、お互いが相手の話を一冊づつ丁寧に聞くスタイルは読み手にとっても心地良いです。リスト自体にもハズレがなそそうで、特に目をひく9位の赤川次郎に、へぇ…。
来月の特集によれば冬の時代らしい「翻訳ミステリー」は、確かに吉野仁の紹介を見ていても国内の方が盛り上がっている感じ。逆に少し前まで絶滅の危機にあったガイブンはトヨザキ社長の踏ん張りもあってか盛り上がってきているのではないでしょうか。紹介されたどの本も、それぞれの月での紹介が浮かび上がるほどにインパクトがあります。

高野秀行はイスラム圏で酒を飲む話。今号のチュニジア編は次号まで続き、そちらも大いに期待させられますが、以降は是非、よりアルコールに厳しい他のアラブ諸国でコワイ目に会う話も読んで見たいです。宮田珠己の世間のエコ(への持って行き方)に対する反発はまさに私が「ソトコト」の電車中吊り広告を見るたびに思うことで個人的に全く同感の嬉しい内容でした。ハヤカワのノンフィクちゃんはエイプリルフールのチャック・ノリスネタに大笑いした口なので、こんな真面目そうな人が作ったんだ、と意外でした。
参照: http://blog.hayakawa-online.co.jp/nonfiction/2010/04/juice-87ae.html
吉野朔実の京都、大矢博子の別府、ツボちゃんの「噂の真相」は、どれもちょっとづつ、ずるいなぁ、と。

沢野さんの新宿飲み屋地図はコピーして飲みに行きたい!! ただ、サラッと書いてある「国鉄新宿線」の文字が気になります。存在しない店も多いのかな…。その沢野さん、都築響一との対談はしっかり聞き役に徹していて、意外な一面をみました。そう言えばクロはちょっと心配ですね。
松村雄策「ロッキング・オン風雲録」には私からも一票。ただし「本の雑誌」だから小林信彦の件で無理かなぁ、と。その場合には渋谷陽一で。

他に『ノンストップ』『サラの鍵』『恋愛小説集?』『トッカン 特別国税徴収官』『小さいおうち』『キング&クイーン』。当然ながら複数人に紹介される本は記憶に残ります。

逆に今号で今一つだったのは柴崎友香の買い物エッセイと、絲山秋子と内澤旬子の連載エッセイ。

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