彼女を守る51の方法 (1)

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彼女を守る51の方法 1 (BUNCH COMICS)
彼女を守る51の方法 (1) / 古屋兎丸 / 新潮社 / 530円 (505円)
デザイン・装丁 chutte / 表紙写真 UME

お台場のテレビ局に就活で来ていた三島ジンは、中学時代の同級生、岡野なな子と再会直後、M8の直下型地震にあう。崩壊する東京、お台場。倒壊したショッピングモール、液状化現象に傾く観覧車。二人はレインボーブリッジを目指す。

前回の「π」が「うる星やつら」を隠れモチーフにした集団群像による読みきりタイプのギャグ漫画(プラスその他もろもろの融合)であったのに対し、今回はストレートな週刊連載の王道ストーリー劇画。要所要所で盛り上げては、「幕は開けた」「本編はスタートする」などの煽りも含めつつ、展開します。作者にとってこれは新しいスタイルで、連載されている「バンチ」編集サイドの意向も十分に汲んだ上でのチャレンジでしょう。本誌も毎週読んでいますがストーリーはまっすぐですし、作画も被災後の線が多用された荒々しい感じは、バンチの他の連載陣となじんでいますし、何よりとにかく次号が待ち遠しく、非常に成功していると思います(なので連載が休載されたときはがっかりでした。ちなみに「落した」わけではなく、最近の週刊誌では定期的に作家を休ませているようです。えらいな。コアミックスだからかな?)。

いいのが岡野の衣装。最初にmixiでカットをみたときはゴスロリか、と驚いたのですが、被災後の崩壊した場面にあっての天使ぶりの可愛さは際立ちます。ジン君は最初週刊誌「SPA」の中吊りの一人称「ボクら」みたいな奴かと思っていたら早々と気合が入って、しっかりものに。まぁ、そうでなくちゃ主人公はつとまりませんが。じじい、サリヘリのソドム、グルーピー等々、脇役陣も固く、これからに期待です、わくわくしながら。

「51」という数字は、原案協力から来たもので、あまりこだわりはないのかも知れませんが、「π」も「ショートカッツ」も100話で終わらせる信念を見せた古屋兎丸ですので、単行本5巻、51話完結を狙っているのでは、とちょっと思ったので書いておく。
デザインの chutteはいつものように凝りまくり、今回はページ番号の活字や背表紙のタイトルを汚しています。

さて、メインの地震についてですが、これだけリアルに再現してもらいながらも、どこか自分には起きないと思ってしまうのがうーん。悲しいことに。神戸で被災した友人もいて、直接にその話しとかも聞いたんだけどなぁ…。
ま、できることから、何か小さいことでもいいから始めるか。

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