2018年9月号(No.423) 指ぬき逃走号 (mixi用)
本の雑誌 2018年9月号 (No.423) / 本の雑誌社 / 667円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし
感想
特集は『文豪とはなんだ?』。
本誌の文豪一覧の項目によれば、「没年齢」「死因」「エピソード・性癖」が重要で、特に早死、自殺、変態が最高らしい。まぁいわゆる「作家」のイメージですよね、否定しない。
それにしても太宰が戦後まで行きていたとか、泉鏡花の潔癖症とか、谷崎潤一郎の女好きとか、夏目漱石と志賀直哉の金持ちぶりとか、知らないエピソードが出てくる出てくる。そんな中でも島崎藤村の性犯罪者ぶりは図抜けていて驚きます。嵐山光三郎でなくても怒るし、正気を疑うわ、これ…。
川口則弘の「近現代縦断文豪人気者番付」が良いです。
宮田珠己のロト7はやっぱりつまらない。
黒い昼食会は北条裕子の「美しい顔」。読んだら面白そうだけどパクリはいかんでしょ。それ以上も以下もない。
西村賢太は「一私小説書きの日乗」は単行本化されるらしい。毎月の連載では4ページを面白く読んでいるけど、本でまとめて読んで楽しいかな…。疑問だ。
新刊では『あなたを愛してから』『遭難信号』『碆霊の如き祀るもの』。ミステリーは書評しか読んでいませんが、昨今のアクロバティックな展開は本当に凄そうで、いつかは挑戦したいと思っています。「圧倒的な情報量に立ち向かう解決編」とか聞くだけでときめきます。
岡部愛の紹介する「オメガバース」って知らなくて、「SCP財団」みたいなもんかと思って調べました。
「狼の群れの階級社会 + 両性具有の要素が合わさった設定」で主に BL 系解釈がなさられているようで、「好き嫌いが分かれる特殊設定である。」まさにこれ。苦手なジャンル。でも設定は面白そうなんだよなぁ…。
服部文祥の紹介する『ねじれた文字、ねじれた路』はあらすじを聞いただけで、二人の対比と後半の友情話で盛り上がりそうです。
鏡明は何かの依頼で(?) SFの必読書10冊を挙げています。最初の3冊を挙げると
- 天の声
- 「直交」3部作
- 新しい太陽の書
「わからない SF」と自分で紹介してます。「親切であることは、時には余計なお世話であったりするのだ」。確かに。
いつもここに書くのを忘れているけど矢部潤子の「今月の男前」は最近減った冒険小説を取り上げることが多いのでとても嬉しい。今月号も『北壁の死闘』! 懐かしい。いいぞ、もっとやれ。
吉田伸子は原田マハの10冊。誰だっけと思ったら、あの元キュレーターの人で、『楽園のカンヴァス』と『暗幕のゲルニカ』の人か。…という認識でしたが、デビュー作『カフーを待ちわびて』の紹介にはときめきました。第1回日本ラブストーリー大賞受賞作ってのがまたすごい。