本の雑誌 2016年10月号 – 400号おめでとうございます。

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本の雑誌 2016年10月号 (No.400) / 本の雑誌社 / 796円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

「本棚が見たい!」に鏡明が登場。確かに本の量は多く、少し片づけた程度ではどうしようもないレベルですが綺麗に積んであって決して「魔窟」ではありません。逆に、持ち主の性格を表したかのような論理的な圧倒感があってとてもかっこいい「書庫」。北原尚彦の選出する「魔窟ベスト10」から喜国雅彦の本棚が漏れた理由は「キレイだから」でしたが、ベクトルは違えど同じですね。十分「整理派」側の会員です。

特集は「400号記念なんでもベスト10!」

最初の表彰で太田篤哉が「(居酒屋)房チェーンの広告を364号分出して7000万円以上の出費」と言っているので、1回の広告費用は20万円。意外と安い気がします。

「雑誌の付録10傑」。CD が付録についた最初の雑誌はソフトバンクの「Oh! FM」で、FM TOWNS 用に付けたものではないかと思います。確か「太っ腹 No.1」とか名付けていたような。1989年くらいの話です。

新潮社社食おいしそうですねぇ。どこにでも気の利いた料理人はいるもので。
そう言えば以前、仕事でお世話になった読売新聞の印刷工場の社食も、ぱっと見、どこにでもあるフツーの社食でしたが、どれを食べても無茶苦茶おいしいので驚きました。無料の付け出しさえもが、はっとする旨さという。毎日楽しみでした。

「雑誌編集長ベスト10」。すべての雑誌を買ったことはあっても編集長は意識していませんでした(渋谷陽一は NHK-FM サウンドストリート、FMホットラインがあったから別枠)。もう少し早く生まれて東京に暮らしていればここらへんの70年代から80年代の「雑誌の黄金時代」を体感できたのでしょうね。たらればですが、残念。

「装丁家10傑」。寄藤文平、水戸部功、川名潤の3人を並べて褒めているのですが、これ褒めたことになるのですかね…。ゴシック体のタイトル、みんな同じに見えてしまうのですが…。同様に「本文書体ベスト10」も言われれば確かに違うけど…って程度。Windows のメイリオ並にひどければ気になるけど、活字のフォントはどれも綺麗だと思います。

 

入江敦彦は堀部篤史を敵呼ばわり。是非、堀部篤史の意見も聞きたいところです。ついでに『読む京都』をどう読んでいるも教えてほしい。しかし京都でベストセラーになった京都本なんだから、京都新聞は取り上げるべきだ、ってのはちょっと乱暴じゃないかなぁ。そんなもんかなぁ。

ツボちゃんは『フィルム・ブックス ウルトラQ』での的場徹の言葉を紹介。
「東宝の特撮は、実物を忠実に再現しようとして、セットもジオラマ的に大きなものを作る。ここが特撮シーンだと観客にわからせる。それに対して、大映は必要とされる部分のセットだけを作り、本編と特撮の違和感をなくすことを目指す」。
そうか、だから新生「ゴジラ」でスーパーX とか出しても東宝は平気で、新生「ガメラ」の特撮は画期的だったんだ。

服部文祥の「飛行士と登山者」。山で死んだ人々に対し、生き残っている現在の状態を、挑戦の度合いが足らなかったのではと自問自答する様子がリアル。

穂村弘は爆笑ものの「電車の二人」。スマホに熱中している乗客ばかりの電車の中で、少年と老人が並んで本を開いている。少年が読んでいるのは『アルジャーノンに花束を』。嘘みたいなホントの話し。で、老人は何を読んでいるかというと…。オチも巧い!

ブックガイドは梶尾真治の10冊。
「エマノン」の名前は聞いたことがありましたが、作家人生でずっとタイムスリップと恋愛を絡めて描いているとは知りませんでした。というか、そんなことが可能なのか!? と驚きました。
で、デビュー作の『美亜へ贈る真珠』のガイドを読むと、うわぁ、好みの大甘。学生時代に知ってたら抜け出せなかったんじゃないかなぁ…。これは読みたい。新刊の『松本城、起つ』や『ハリー・オーガスト、15回目の人生』にはもういいじゃんと思ったのに不思議ですが。

新刊では『その先は想像しろ』『カント先生』『死の鳥』。森絵都『みかづき』は北上次郎が今年ナンバー1に推すほど面白く感じませんでした。感性が鈍ったのか、家族の物語に興味が無いのか。どちらにしろ困ったものですが。

 

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