本の雑誌 2016年5月号 – 西村賢太は藤澤清造を年内続けてください!!

本の雑誌 2016年5月号 (No.395) / 本の雑誌社 / 667円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

西村賢太の藤澤清造献呈第一番本入手の話がこの号で終わるなんて惜しい! 惜し過ぎる!「○百万積んでの土下座」させた名古屋の教授が、どうしてそこまで固執したのかを含めじっくり語って欲しいです。しかも何が素晴らしいって入手後十数年を経て、今のほうが開く頻度が高いという「歿後弟子」のその態度! しばらく他の作家はいいから熱烈、連載継続を希望します。

特集は「週刊誌の時代が再びやってきた!」。長めの記事をじっくり読ませる特集で面白かったです。週刊文春と週刊新潮の現在と過去の作り方を対比させるかのインタビューと対談が主ですが、その前に新谷編集長が訴訟を恐れないからイケイケなのだ、という川端幹人の分析を一つ置くことで以後のインタビューが生きてきますし(もちろん、インタビュアーは(そして原稿整理も)浜本編集発行人)、新聞社系と出版社系のツボちゃんの概説があるから対談をより深く理解できます(対談はちょっとツボちゃん、しゃべりすぎの気もするけど…。嬉しかったんだろうなぁ)。いつもはインタビューする側だからでしょうか、新旧両編集長が嬉しそうに語っているのが印象的でした。編集うますぎ。

芸能人に疎く「カトパン」と言われても、フジテレビの人気アナウンサーだとは知っていても顔も浮かばないレベルです。確かにネットでよく名前を見ましたが、おじさん雑誌でここまで持ち上げられているとは夢にも思いませんでした。ふーん。(としか言えない…。)

編集が意地悪だなと思ったのは三島由紀夫の10冊。その前の三角窓口でドナルド・キーンが『豊饒の海』の最終原稿が3か月前にあったことを明かしているのだからちょっとな。紹介記事自体は、まずその『豊饒の海』4部作を紹介し(こんなに変化に富んだ、裕福な物語だったのか!? と驚き)、その各巻で気に入った方はこちらにという構成。あまりに面白そうなのでネタばれを嫌って読むのを止めましたよ。規定の8倍もの原稿を書いたという神谷竜介の姿勢も立派。

内澤旬子はブルー・オン・ブルー。ブルーのシャツに、水色地にピンストライプを合わせて、次は靴というところで次号。平松洋子は虎ノ門の名物立ち食いそばの紹介。この2連載はいつも凄い。単行本になったら絶対盛り上がるね。

高藤佐和子の乙女派エッセイは好評なのですか? 私はいつもピンと来ませんし(むしろ文体は嫌いな方だ)、彼女が本気で面白がっているわけでもないネタを通り一遍な紹介で、意味が分かりません。「今月書いた人」のコメントの方がよほど面白い。

新刊では『ブッダが説いたこと』が凄い。タイトルからは説教臭そうですが、ブッダは闇雲に信じるのではなく、今を生き、自分の頭で判断し真理を見抜けるよう鍛錬すべしと教えるらしい。深いわ。『現代詩人探偵』の十年ぶりのオフ会で半数が不審死でその真相を探るって展開も面白そうです。

「本の雑誌」バックナンバーが1号~50号で2万円。って安すぎないか!? 1号なんて入手できるんだ…と驚きました。こんなんで驚いていたら西村賢太に申し訳ないが…。なお、古書いろどりには「本の雑誌」のバックナンバーがあるそうです。不定休なので「https://twitter.com/kosho_irodori」で事前にチェック。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です