本の雑誌 2013年10月号 (No.364) 焼肉中止茫然号

本の雑誌 2013年10月号 (No.364) / 本の雑誌社 / 648円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

 特集は「サンリオSF文庫の伝説」。「本の雑誌」と言えば55号の一冊欠けたリストで有名ですが、今回は牧眞司&彩古の古書価格までついた完璧 版。もうここまで来たら版違いの情報に、大橋博之のカバー(カラーで)、山野浩一のインタビュー完全版と関西海外SF研究会からの反論(?)まで掲載した 別冊にすればいいんじゃないでしょうか?

… ってなお気楽なマニアに厳しいのが田口久美子のコメント。さよならフェアに対して「惜しいね」という客に「あなたが普段から買ってくれれば廃刊になんかならない のに」。確かに。ちなみに今日(2013/10/12)に神保町@ワンダーに行ったら、サンリオ文庫200冊揃い40万円になっていました。店員さん、精 進したようです :-)

小野小夜の姫野カオルコの10冊は良いガイド。何となく正体も知らずに敬遠していたのですが、フィクションの中のノンフィクションの部分がずっと 残る作品って分かる例えでした。「ツ、イ、ラ、ク」はよく書店で見かけますね。一方でいつも絶好調の入江敦彦が説く『セーラー服と機関銃』は冒頭の期待の 割に、比喩がずっと空回って珍しくしっくり来ません。活性炭でも擦り込んだかのように蛋白なヒロイン像をグラビア誌に例えるのはいいけど、その読者体験を 自慰行為とした所が間違いの気がします。

浅生ハルミンが紹介する、エル・ジャポン1985年7月号特集の「わたしは、都会が似合う女」は何の遠慮も配慮もない80年台表現に対して「ギラ ギラした文言を誰の顔色もうかがわずに書けたこの時代の気分が少しうらやましい。」まさに。それに比べて萩原魚雷の紹介する山本周五郎は、70年を経た現 代もまったく変わらないダメっぷり。いいです。

風野春樹の「世界を席巻するアメリカ流診断基準」は、密接に関わっているはずの精神と文化が、アメリカの市場戦略により一方的に統一されようとし ているというもの。心の病み方さえもが世界標準化していると。常にアッパーであることを求める連中の定義する「うつ病」って日本と違うよねと。それはビジ ネスの方法でも同じと思います。

内澤旬子の紹介するメンズファッションブランドはエディ・バウアーとユナイテッドアローズでした。( ..)φメモメモ、って高いイメージだが。

他に佐久間文子の伝記三本立(カーヴァー、ヴォネガット、サリンジャー)、筒井康隆『偽文士日碌』、都筑道夫『にぎやかな悪霊たち』と高信太郎の解説など。

 

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