本の雑誌 2011年8月号 (No.338) / 本の雑誌社 / 705円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「上半期ベスト1」。ベスト10に挙げられた作品も、月別ベスト1に挙げられた作品も、どれも魅力的で充実の内容。月別ベストという新しい切り口の導入もよかったです。そんな中で1位が『ジェノサイド』。編集部の強い骨太な意志を感じますね、SF万歳。沢田康彦、東川端参丁目、松村雄策などライターの選び方にもちょっと懐かしい人が混ざり嬉しかったです。
もう一つの特集が「地図は楽しい」。渡邊十絲子が憧れの今尾恵介と対談。その他の記事も含め、地図に対する偏愛ぶりが存分に表現され、わくわくした感じが伝わりました。別の複数記事紹介された「地図から消えた島々」も面白そうですね。つい最近まで、そんな島があったという事実に驚くばかりでした。特集最後のおじさん三人組はちょっと消化不良な感じで残念でした。
過去の作品を丁寧に読み解き、全く新しい面を見せてれくれる個人的に一押しの連載「ベストセラー温故知新」。今回の題材は『積木くずし』。正続合わせた全4編はその内容も凄いけど、これを正面から取り上げて「凄い」といった入江敦彦が素晴らしい。さすがに読もうとは思いませんが見方は変わりました。続いてもう一つの好調な連載「読み物作家ガイド」は、恩田陸の10冊。『夜のピクニック』のイメージが強く、何故三橋暁が紹介するのか分かりませんでしたが紹介文を読んで納得。へぇ、そんな作家さんだったんだぁ。
吉野朔実と目黒考二は仲良く記憶の弱い話。
他に『盗まれっ子』『刑務所図書館の人びと』『ねじまき少女』『新宿鮫X』『メルカトルかく語りき』『私のいない高校』(帯の推薦はトヨザキ社長だったはず)。