漫画批評 Vol.1

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漫画批評 Vol.1 / 500円
2009年10月20日発行

古屋兎丸さんのロング・インタビューが Vol.3 に掲載されいてるため、バックナンバーをまとめて購入したもので、これはその創刊号。批評誌の創刊号にも関わらずヘンに気負った風がなく、漫画全体を幅広く紹介していこうという姿勢にまずは感心。編集後記を見る限り、相当数のスタッフが突貫で手伝ったようですので、編集長の強い志と指導力、リーダーシップが感じられます。

漫画賞受賞作のその後のだらだら連載を批判したり、漫画の中に出てくる新聞描写(の手抜き)を調査したり、ノンブルの見つからない漫画雑誌を批判したり、と読者目線の記事が多いのもいいですね。漫画の紹介も幅広いジャンルから偏りなく集めています。『トリコ』『せんせいになれません』が面白そう。『はじめの一歩』って、そんなに良いの? いかにもマガジンなキャラクターの絵に、まったく興味を持てないのですが…。

インタビューはいしかわじゅん。一度も読んだことがなく「マンガ夜話の人」という捉え方だったのですが、バブル期はとても活躍した人だったのですね。エロ本でのスタートや、大手出版社の無理解ぶりなど具体的な話が多く興味深い。また漫画に対する前向きなコメントや諸外国とのWebサイトでの比較等も印象的でした。耳が痛いのは一般読者に対する「もっとゆっくり読め」というアドバイス。このインタビューを読んだ後、私の漫画を読む姿勢は確実に変わりました。

それにしても冒頭、麻生政権がぶちあげた「漫画の殿堂」へのコメントや、巻末に臼井儀人の死亡記事に、時の流れの速さを感じずに入られませんね。

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