本の雑誌3月号 (No.333)

本の雑誌 3月号 (No.333) / 本の雑誌社 / 705円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

特集は「いま冒険本・探検本が熱い!」。椎名さんが編集長だったならもっと違った感じ – 正統派と言ったらいいでしょうか – の冒険本が並んだところでしょうが、切り口がエンタメノンフ系のためか、少し軽めの印象を受けました。その中では異色の国分拓の『百年の孤独』読書記が、ジャングルの中で本と現実がごちゃ混ぜになりながら時間の経過と共にどんどんおかしくなる読書に凄みを感じます。
続いて新米編集長浜本に坪ちゃんが名編集長とは何ぞやを叩き込む集中講座は、鼎談が実に手際よくまとめられて飽きさせません。このまま毎月、雑誌の最後のほうで連載して欲しいくらい。嫌味なく坪ちゃんの知識を引き出す二人の話術も見事です。

新刊めったくたガイドでは、山崎まどかが好調。大森望のSFは珍しくピンと来る作品がなく、その分(?)山岸真のSF新世紀の方はキラキラしています。

浅生ハルミンの紹介する鈴木義治の絵は思わず検索。確かに色々な所で見てきた懐かしい絵です。
連載開始時から大丈夫かなと思っていたオビミシュラン。本を手に取らせること、開かせること、レジに持って行かせること、という視点からのみ評価する実直な姿勢は説得力があり、ここ数回は観直しています。同じく不安視した内澤旬子も良いですね。クロスレビューで高評価の『ハーモニー』は103ページに何があるのか? 退屈していた二人が突然盛り上がるのは何? 坪ちゃんは蓮實重彦をけなしているのか、褒めているのか…。はらだみずきさんはお疲れさまでした。最後はうるうるしました。永江朗は『KAGEROU』の周囲を語って中身を語らず。

最後の「今月書いた人」を楽しみにしているのですが、青山南のいつもまったく慌てていない文章が素晴らしすぎます。

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