おすすめ文庫王国 2008年度版

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本誌1月号で大森望が「当欄では再刊復刊までなかなか手が回らないため、そっちは年に一度の本誌増刊『文庫王国』でまとめて紹介する習わし」とあるように、たまたま今年出ただけの文庫本を一気に紹介する増刊号。毎年の事ながら、面白そうな本、単行本での高い評価が再びの本、新しい発見の本、などてんこ盛りです。

ベストテンはまぁ、あってなしのごとしですが、実はしっかり選んでいるのでしょうね。特筆すべきがジャンル別ベスト10。毎度の連載陣の紹介はホントに上手く、いつもどうしたもんかと唸っていた長島千尋(恋愛小説)や、苦手ジャンルの三村美衣(ライトノベル)でさえ、あれもこれもと読みたくなりました。とりわけ輝くのがトヨザキ社長(現代文学)。短い文章の中に読みどころを散りばめつつ、10冊の羅列で終わるところをアクロバティックにつないでいく。いやはや。素晴らしいです。

2008年文庫版元比べも去年までの番付に比べ、版元の個性や特徴が存分に伺える通知表方式。考えた人エライ!! 読んでいて単純に面白いしね。杉江松恋の「容疑者Xの献身」解説A面/B面も◎。この本の二面性を伝えるだけでなく、立派な解説になっています。

逆にイマイチなのは鉄平君の体験記と文庫来歴調査。どちらも時間はかかっているのだろうけど、ちょっとなぁ。最悪はツボちゃんの枕。もう芸がない、とかいうレベルではないと思います。

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