インノサン少年十字軍

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インノサン少年十字軍 上巻 (Fx COMICS) (F×comics)

インノサン少年十字軍 上巻 (Fx COMICS) (F×comics)

インノサン少年十字軍 / 古屋兎丸 / 太田出版 / 1260円 (1200円)
ブックデザイン chutte

1212年のフランス北部。神から信託を受けた選ばれし子エティエンヌと、ニコラを中心とする12人の使徒は少年十字軍として、異教徒からの奪回を目指し、聖地エルサレムを目指す。テンプル騎士団の庇護の下、少年らは組織を拡大しつつ、互いの中に緊張を生みながら、聖地を目指していく。

これまでの兎丸作品とは異なる壮大な絵巻物風の大河ドラマ。コマ割りや演出も派手で、凝った装丁にふさわしい堂々たる展開です。上巻ということもあり、話しはまだまだ準備段階ですが、それでもエティエンヌの最後まで続くであろう孤立感は強調されます。物語の中心はニコラ。彼の心の揺らぎ — 最初はエティエンヌに、次にユーゴに対する同性愛にも通じる憧れや敬愛 — と、父を殺された恨み、憎しみが丁寧に描かれます。次巻以降、エティエンヌとの衝突や、個人的な葛藤に悩むのでしょう。不幸な結果に終わることはすでに説明されていますので、あとはどうなるかだなぁ。

今回のキャラクターでは極端にデフォルトされた目が印象に残りました。エティエンヌの綺麗だが現実を見ていない青い目と、ニコラの熱狂的、狂信的な目、クリスチャンの涼しいというよりもただただ冷たいだけの目、中でもミカエルの白痴を思わせる、がらんどうな目は怖いです。

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