ほとんど無害

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ほとんど無害 (河出文庫)

ほとんど無害 / ダグラス・アダムス / 安原和見訳 / 河出文庫 / 683円 (650円)
Mostly Harmless / Douglas Adams
カバーデザイン 永松大剛 (BUFFALO.GYM) / カバー装画 氷見こずえ / カバーフォーマット 佐々木暁

シリーズ5作目にして、作者急死のため最終話。並行宇宙に絡め取られ、必死に元の道を模索するフォードは、新しい「ガイド」に問題があることを知る。アーサーは自分の遺伝子を売ってヒッチハイクしながら地球を探すが、事故で辺鄙な惑星ラミュエラに不時着。そこでサンドイッチ作りをしている所で、トリリアンに彼らの娘ランダムと引き合わせられる。ランダムはアーサー宛に送られた新しい「ガイド」を入手。時間的逆行工作を利用して地球へ。フォードとアーサーも地球へ。

傑作!
冒頭のバックアップシステムの話しが非常によく書けていてまず感心。もっともこの年末年始でシステムの切り替えをやっているSEにはツライ話しかも知れないが…。以後は、必死に昔のムチャクチャだったが自由はあった「ガイド」を取り戻そうと、本社ビルで孤軍奮闘するフォードの最初の足首をひねるシーケンス、笑わせてくれるランダムの存在、ガイドとランダムのまったく「まとも」な会話、プレスリーの泣かせるシーン(ここのフォードはムチャクチャかっこいい)等、見せ場の連続で最後まで一気呵成。最後もきっちり(?)決め、笑いの要素は減ったものの、シリーズ中もっともスピード感のある作品でした。次回作を期待させるエンディングで、これでお終いとは実に寂しい。作者の若き死が惜しまれます。

あとがきを今、読みましたが、うーん、この閉塞感はありだと思うのだがなぁ…。

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