死の激流

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死の激流 / アリステア・マクリーン / 平井イサク訳 / 早川書房 / 1200円 (ブックオフで100円)
装幀 依光隆
River of Death by Alistair MacLean

ハミルトンはブラジル奥地にある黄金の都市<失われた都>への道程を発見する。富豪のスミスはハミルトンをガイドとして仲間らと共に<失われた都>を目指す。途中、急流や、原住民の支配する地域へ通過し、ジョーンズと名乗る男が支配する目的地へ到着する。この男こそ、元親衛隊のフォン・マントイフェル少将であり、事件全体は彼の正体、及びスミスが元親衛隊員だったことを暴くこと、そしてハミルトンの個人的な恨みを晴らすことにあったことが分かる。

まったく読むべき箇所がなく、元親衛隊ネタも早々と分かり、サスペンス的な盛り上がりの工夫もなし。「荒鷲の要塞」などと同じスタイルの「非現実的な作戦」ですが、それはそれで構わないので、もう少し読書の楽しみを味わせてくれてもよさそうなもの。登場人物にも誰一人魅力がなく、前半に出したヒラーやセラーノは後半、台詞さえない始末。はぁ。

マクリーンの長編作品は「雪原の炎」を最後に文庫化が止まったため、以後の「死の激流」「パルチザン」「防潮門」「サン・アンドレアス号の脱出」「サントリーニの牙」は単行本で読むしかなく、もちろん人気や内容があれば将来の文庫化も期待できるのですが、後年はひどい作品ばかり(短編集の「孤独の海」があるが、これは文庫化された)。これから残りを探して読むかなぁ…。それにしても初期のマクリーンは凄かった。高校時代、「黄金のランデヴー」や「荒鷲の要塞」を読んでいて、あまりの興奮に文字通り手に汗握って、カバーの折り返し部分をすり切ったくらい。昔のを再読したほうがましなことは分かるのだが、さて。

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