ヴァンパイア・コレクション

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ヴァンパイア・コレクション (角川文庫)
ヴァンパイア・コレクション / ピーター・へイニング編 / 風間賢二、他訳 / 角川文庫 / 1000円 + 税
The Vampire Omnibus / Peter Haining
カバーフォト PHOTONICA

ドラキュラ関連の短編を大きく3つのカテゴリ(古典、映画、現代)に分けて紹介したアンソロジー。ボリューム、値段の割りに面白い作品は少ない。

古典編はその古さよりも、今風の文体に驚かされます。本当に普通に読め、これが19世紀の作品とは思えません。翻訳に助けられている面があるのかもしれませんが、それにしても。旅先のスコットランドにて一瞬にして中世にタイムスリップした男の話ジュアリアン・ホーソーン「白い肩の女」と、ゴシックロマンを真正面から描くデュマ&ボカージ「蒼白の貴婦人」がおもしろい。

映画編はストーリーテリングで一気にパターンが多く、実際キング「新・死霊伝説」、ライス「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」こなれてます。マリリン・ロス「ダーク・シャドウズ」の、いかにも連ドラ途中のエピソード、それまで張り合っていた主人公と敵役が手を結ぶあたりがいい感じでした。

現代編は、中途半端なおふざけや、一発落ちが多くて閉口。わずかにシンクレア「ヴラド伯父さん」の得体の知れない不気味さ、コッパー「読者よ、わたしは彼を埋めた!」の荒涼とした情景はよかった。

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