萌えるアメリカ

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萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか
萌えるアメリカ / 堀淵清治 / 日経BP社 / 1680円 (1600円)
装丁 木継則幸(インフォバーン)

アメコミしか理解できないアメリカ人に、日本のマンガの良さを伝え、出版を成功させた人の自伝。

会社の名前はビズ(VIZ)。ちょっとがっかり。と言うのも、ネットで読める「PULP」のインタビューや記事、出版している書籍、その丁寧な作りから、ここまで日本文化を知り尽くした会社が外国にあったのかと軽く興奮していたのに、バックが小学館と集英社。日本人が興した純然たる日系企業だったのですから …。あぁ。

という個人の勝手な思い入れは別として、コミック事情に多少なりとも興味があれば非常に興味深い書籍で、恐らくこれ以上のものは後に出てこないでしょう。いかにアメリカ人にマンガを読ませるか。まずは技術的な問題。裏焼きを考え出し、オノマトペを造語し、リタッチし、版形を工夫し etc. etc。そしてビジネスの問題。複雑な流通システムに、独特の販売経路。国が違えば方法も変わる。3日もあればどんな離島にでも印刷物を届けられる日本と違い、広大な地域に散らばる大量の在庫、大量の小売、大量の消費者にどう応えるか。売り方を変え、メディアを変え、ビジネスモデルを変え、版権に悩み、流通に悩み etc. etc。版元が日経BPということもあり、また作者にはライバルを含め、後に続く人にビジネスの基本事項理解して欲しいという願いもあってか、具体的な会社名や商慣習、取引内容まで克明に書かれます。

マンガ個々の選別についてや、内容の取り上げ方については、中盤からあれもこれもと駆け足になってしまったこともあって、説明不足の感があるのはちょっと残念ですが、まぁそれだけ現在も時々刻々と変わっている、と言うことなのかも知れません。その中で別格的に扱われる高橋留美子のエピソードは一マンガファンとして痺れます。そうそう「サルまん」の英語版を出したのもビズでした。確かにマンガのメタな紹介としてはうってつけですし、何より白井さんが出てきますもんね :-) ちなみにこの本の中の白井さんも十分かっこいいです。

全然関係ないけど、この作者にはヒッピー時代の放浪や、そこで見たアメリカの様子など別書籍でたっぷり書いて欲しい気がしました。

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