本の雑誌 8月号 (No.278) / 本の雑誌社 / 680円 (648円)
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「2006年上半期ベスト1」。ベスト3は匿名A氏の意見がそのまま通り(目黒さん?)、「図書館戦争」「配達あかずきん」「鴨川ホルモー」。1位は新刊紹介のときから面白そうでしたね、図書館の使命なんて出てくるので本好きにはたまらないかも。他のベストで面白そうなのが「武部本一郎SF挿絵原画蒐集」「光降る碧の大地」。
新元良一は堀江敏幸にインタビュー。曰く「読んで、自分のなかに何か残るなら残るだろうし、残らなければそれまでだし。何が残ったか、というのも、すぐにわからないですよね。」「(紹介者とは)全体にとりまとめて、コーディネートして、なおかつひとりひとりの作家の仕事をきちんと追って、自分を消しつつ出していく」。うなずきながら読みました。
青山南は「ワンブック・オーサーの二作目」として、「アラバマ物語」のハーパー・リーの二作目(でいいよね?)「冷血」の紹介。愛に溢れたエッセイでいい気持ちになります。
柴口育子は通販雑誌の数誌をべた褒め。そこまで彼女が言うならと、興味もわいてきます。逆に連載の方はちょっと手抜き?
ビンゴ本郷は「ホタルノヒカリ」の紹介。少女漫画のヒロインはね、たとえ干物女でも、もてなきゃ話しにならんですからね。「働きマン」しかり。どちらもちょっと読んでみたいですが。
木村晋介は「愛の流刑地」を茶化すでなくごまかすでなく、真正面から議論。ちょっと内容を聞いたときはふざけんなよ、と思っていたのですが「たんねんにたんねんに描かれてきた性描写は、この彼女の言葉が真意によるものと読者に理解させるに十分な力を持っているように思える」だそうです。ふ~ん。
ところで武部本一郎の本は大橋博之のエッセイでも取り上げられ、「秋の四重奏」は石堂、北上両氏が取り上げ、と最近は複数の視点がうまく機能してきました。いいですね。