斜陽

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斜陽 / 太宰治 / 新潮文庫 / 200円 もらった本

終戦後、旧華族の一家が為す術もなくおちぶれていく話し、とは聞いていたものの実際に読んでみると、印象は少し異なりました。嫌でそうなっている、というよりも望んでそうなっている、という感じ。特に母親の態度にそれを感じました。恐らく西片町の引越し以前、夫を亡くしたあたりでこの人は終わっていたんでしょうね。なので正しくは旧華族が精神的にも肉体的にも自殺していく話し、かと。

母親は文芸に優れ、人間観察も鋭いようですので、きっかけさえあれば生きられたと思いますが、この子供らじゃ…。特に凄いのがかず子。30歳で離婚暦もありながら、ちょっと手を出されただけで独りよがりの長文ラブレターを立て続けに書き、挙げ句に押しかけるそのしつこさに、呆然。最後の宣言も含め、浅い計算ばかりで、母も、兄も苦しめる結果で何だかなぁ。これが華族というものか。
一方、金持ち根性から抜けられず、また人妻に恋した自分自身に恋して自殺する直治も、妹に劣らない。例え話しの作りも妹そっくりのいやらしさでで驚かされます。この兄妹なかりせば、母親ももう少し長生きできたのではないか、と。

ちなみに一家の住んでいた西片町は本郷の地名のようです。読んでて気になったもので。

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