メディア買収の野望

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メディア買収の野望 (上)(下) / ジェフリー・アーチャー / 永井淳訳 / 新潮文庫
The Fourth Estate / Jeffrey Archer


新潮文庫の邦題は常に訳し過ぎ、説明しすぎ、ネタを割りすぎですが、今回に限っては正解。全編、野望ばかり。で、辟易しました。

「ケインとアベル」に「チェルシー・テラスへの道」味を加えたおなじみの手法で前半はさくさく。ただ微妙に二人の時間がずれている点で何かあるのかと深読みしてたら何もなく、ただひたすらに「野望」の繰り返しで、その動機は語られないまま。一応アームストロングは子どものため、と語る部分があり、タウンゼントもそこに憧れる箇所もありますが、それが嘘であることは、以降、それに触れた場面が一度もないことで分かります。二人の悪どさがよく伝わらないまま、周りがいつの間にか「悪どい二人」とラベル付けしているところにも説得力はなく、ロシア、嫁さん問題、特にタウンゼントの妻で魅力的なケイト、そもそもの財政上の問題と、すべて放り出し。推敲されていない初稿を読まされた感じがしました。

ところでページ上の「1966年 タウンゼント」「1923年2月 ルブジ」を小刻みに変えたのは新潮文庫編集部の苦労か、原書にあるのか? 多分、後者かと思うがすばらしい試みだと思います。

 

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