おすすめ文庫王国 2007年度版 / 本の雑誌社 / 798円 (760円)
表紙デザイン 呉事務所装幀会
毎年こんなに面白そうな本があるのだなぁ、と感慨ばかりの文庫王国。今年、文庫化されたというだけで新刊も、文庫化も、復刊も、書き下ろしもあり。ジャンル別の紹介もとりあえず有名どころはリストだけ挙げ(それも十分に面白そうだ)、更に埋もれかかった作品にスポットを浴びせる。その上、志水辰夫や藤沢周平は別枠でまとめるんですからそりゃもう、お腹いっぱい。
ベストテン1位は上橋菜穂子「精霊の守り人」。異世界ファンタジーというより、目黒さんの「2007年は上橋菜穂子の年だった」を引くべきか。同じ著者の「獣の奏者」は上半期ベスト1位でした。以下、荻原延壽「遠い崖」、堀江敏幸「雪沼とその周辺」。
他はジャンル別紹介など傑作、話題作、面白そうな作品の目白押し。逆に企画モノはイマイチ。文庫版元を格付けしたり、文庫担当書店員の対談を収録したり、鉄平君にナツイチを制覇させたり、と色々やってはいるのですが…。
なぜか気になるのが高野秀行「怪魚ウモッカ格闘記」。絶対後悔するんだろうなぁとは思うんですがムチャクチャ気になります。ジャンル作家になるな、とはディーン・クーンツの言葉ですが、ジャンルを自分で作り出し、その中で第一人者になったという意味では、今年はエンタメノンフ & 高野秀行の年でもあったのかな。
関係ないけど索引熱烈希望。