モルディダ・マン

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モルディダ・マン (ミステリアス・プレス文庫)
モルディダ・マン / ロス・トーマス / 山本やよい訳 / ミステリアス・プレス文庫 / 580円円 (563円) 古本屋(文献書院?)で入手
カバー 辰巳四郎
The Mordida Man by Ross Thomas

リビアに支援されたテロリスト集団の一人、フェリックスが誘拐される。CIAの仕業と、報復に大統領の実兄を誘拐し、交換を求めるリビア。誘拐したフェリックスを殺してしまったため、代替策に出る富豪ティンブル。リビアにブラフを打ちながら、CIAや別ルートで実兄を探す大統領。元下院議員であり、ベトナムの英雄、そして「モルディダ・マン」のチャブ・ダンジーは、大統領の命を受け、実兄の救出に乗り出す。

最初はチャブ・ダンジーの、何でも行き当たりばったりで成功してしまうコンゲームに辟易しましたが、ティンブルの目的と、チャブ・ダンジーの目的とが絡み合う後半はスリリングに楽しめました。最後の最後まで読者を騙すでなく、適度に臭わせながら誠実に話しを進めていくやり方は大成功で、それがあるために、ホプキンズの突然の死に怒りが伝わりますし、予想されたエンディングにも快いものがあります。
人物と会話は非常に魅力的です。コウ・ヨシカワとビンゴ・マッケイの会話、チャブ・ダンジーとムラベト大佐の会話は、もっと読んでいたかったですし、ホプキンズとの最初の会話や、アベドサイドとのさりげない会話も、やりすぎない程度にかっこいい。逆に、サイダーに虫歯がなかったり、ティンブルが飛行機の離陸を怖がったりと、思わせぶりなネタが放りっぱなしなのはちょっともったいない。

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