本の雑誌 2月号 (No.332) / 本の雑誌社 / 648円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「いざ! 編集長修行」。新米編集長が教えてもらうという構図がよかったのか編集長は5人とも楽しそうに持論を展開しています。また坪内祐三、花田紀凱の記事(共通して出てくる山本夏彦に興味をもちました)や読者の投稿も冴えていました。これで浜本編集発行人の方針も変わるのでしょうか? ところで「小説新潮」には悪いけど、編集後記は身内受けでつまらないと思うのだけど…。あと一度坪ちゃんに喧嘩を売ると忘れてもらえないから後々大変だなぁ、と > 東京都副知事
水鏡子の「本が好き。読むこと以外で本が好き。」の前半は、本好きなら誰もが自分のことかと思うような独白。本を愛でるという感覚はなかなか他の人には分かってもらえません。でも中盤以降の巨大本棚にはちょっと妬みが混じります。穂村弘は80年代の絢爛文化を、淡々と自分の世界の本を読んで過ごした人間の感想。萩原魚雷は田舎で見かけた古本屋もどきを巡る若者への感想。書を捨てよ町へ出よう、ということか。耳が痛いです。
宮田珠己は地獄と奪衣婆で快調ですが、ずっと楽しく読んでいた高野秀行のサハラ・マラソンは何と単行本へ続く、とな。むぅ。
他に「本の雑誌」での連載も面白かった津野海太郎の『電子本をバカにするなかれ』。
めったくたガイドでは山崎まどか好調。『グラン=ギニョル傑作選』『昭和の家事 母たちのくらし』。北上次郎の『嫌な女』推薦の弁は良かった。これとトヨザキ社長の「アイルランド・ストーリーズ」の2本は最近のマイ・ベスト書評。
最後に松本清張に「ニラニラ」という形容詞はぴったしだと思います。