葡萄園の骨 – 21世紀の法人類学者

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葡萄園の骨 / アーロン・エルキンズ / 嵯峨静江訳 / ハヤカワ文庫 / 900円+税
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
カバー写真 (C) Taylor Hinton/Getty Images (C) Dmitri Korobtsov/Getty Images
Dying on the Vine by Aaron Elkins (2012)

 イタリアでワイン醸造者夫婦の白骨化死体が見つかる。警察主催のシンポジウムに講演者として参加していたギデオンは、ジュディと共にその醸造所に滞在予定だった。ワークショップ中に死体の骨を観察したギデオンは、事件内容と食い違う証拠を見つける。

ギデオンものには
1) 誤った解釈をしてしまいミスリードする
2) 事件そのものと食い違う骨に困惑する
の2パターンがありますが、さすがに1) はあまり使えず、本作も 2) のパターン。ただし周囲をぐるぐると議論するだけで動きは少ないので退屈します。読みどころはイタリア料理くらい? 美味しそうですけどね。

 

ところで本作品では人類学に対する DNA解析やコンピュータの応用などに対する、「古い」研究者の漠然とした不安、不満が描かれます(p.367)。ギデオンの捜査方法に対する時代遅れ感が吐露される部分で、どうしても作者の気持が感じられますね。本シリーズで、ブラックベリーで Google 検索するシーンが出た時はハッとしたものですが、まさかここまで進むとは、ってところでしょうか。

 

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