オーデュポンの祈り / 伊坂幸太郎 / 新潮文庫 / 629円+税
彫像/撮影: 三谷龍二
2000年
元SEの伊藤は、気がつくと見知らぬアパートにいた。訪問してきた日比野によると、轟のボートで運ばれ、荻島にいるらしい。日比野が島を案内する。
仙台が舞台の「伊坂ワールド」が展開されるとどっかで聞いたので、読むならデビュー作からだよなと手に取りました。何となくサスペンスの人かな、あれ元SEだっけ、オーデュポンって何だよ、とか何とか思いながら。
強引な異世界感の上に立つ小気味いい展開の驚きと、所々に出てくる人間的な優しさに対する城山の圧倒的な悪意の塩梅が良く、楽しく、あっという間に読了しました。面白いねぇ。
日比野の無遠慮さと、百合さんや小山田のような物が見えている優しい人たちの配置が絶妙過ぎました。静香やウサギはもう少し読んでみたかったし、突然出てきた配達の少女や、田圃の少年のその後も知りたいし、城山はきっとこの後も出てくるんでしょう。続きの作品群も楽しみです。