本の雑誌 2025年4月号 – 山本貴光の本棚が素晴らしい

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本の雑誌 2025年4月号 (No.502) 花酔てんつく号 / 本の雑誌社 / 850円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

2025年本屋大賞ノミネート作品データ集

『成瀬は信じた道をいく』も強そうだし、『spring』や『アルプス席の母』も良さげだけど、「本の雑誌」的には『死んだ山田と教室』かなと予想します。どうでしょうか。

装丁者の岡本歌織(next door design)は『カフネ』『恋とか愛とかやさしさなら』『人魚が逃げた』の3冊がエントリー。調べると既に有名な方でした。覚えました。

ちなみに人気の本文の紙は「ソリスト(N)」、本文フォントは「リュウミンL」。と言っても3冊程度。花布やスピンの「伊藤信男商店」は、会社名だけどかわいい。

本棚が見たい 山本貴光と橋本麻里

言葉を失うほどにかっこいい。階段上からの全景と獣道がいいわ。しかも「九州大学の旧校舎から回収・貸与された歴史的な木製本棚」って何なのそれ。じゃぁ、私が見たものもあるの!?

「九州大学の家具レスキュー計画。キャンパス移転で行き先を失った什器を在野保存するという願ってもない話」
https://brutus.jp/writer_home_hashimoto/

そんな話があったのね。1棹くらい応募したかったな。

特集「令和エッセイビッグバン!」

デイリーポータルZ陣強いなぁ。古賀及子、スズキナオ、連載陣のべつやくれい。発言が全員等身大で、飾らず、気持ち良いのが特徴かも。
森山裕之の自分の読みたいもので、若者を応援する熱量もほどよくて良かった。

堀部篤史が遠い昔の話として出した「『TVブロス』のコラム」のイメージが悲しい。現在のどんどん薄くなる雑誌メディアにあの頃の「書き手にしかない知識を与えてくれる雑文」満載の紙面は作れないよなぁ。まさに「雑誌の黄金時代の残光がまぶしい。」(橋本輝幸 p.64)

宮崎智之の「令和エッセイ復興の狼煙を」は、文学フリマ、ひとり出版社、独立系書店の中にエッセイを置いてしまうと小さくなりすぎるのではないかと。武田百合子や林芙美子もいいし(私みたいのが読んでも面白い)、古賀及子とスズキナオが言っているみたいな中島らもやさくらももこ、個人的には西原理恵子あたりがもっと評価されればいいのにと思います。その意味で書店員対談はよく見えてるなと思うし、置き場所の悩みは、逆にグラデーションがはっきりした感じがします。

新刊

橋本輝幸は『4321』。面白そうだけど6,500円かぁ…。『ワンダ・ヒッキーの最高にステキな思い出の夜』の訳者に浅倉久志。1960~70年代の「プレイボーイ」での訳業ですかね。
SFは『バベル オックスフォード翻訳家革命秘史』。ずっと面白そうだし、ネットでも評判がいい。「翻訳の魔力で大英帝国が派遣を握る」(山岸真)ですからね。ただ勝手に文庫と思ってたら単行本で上下で5,500円。
東えりかのノンフィクションは全部面白そう!『ガラパゴスを歩いた男』『おしゃべりな絶滅動物たち』『僕には鳥の言葉がわかる』『酒を主食とする人々』。朝枝利男みたいな昭和初期の日本人の行動って読んでみたい。
宇田川拓也の紹介する『流氷の果て』も面白そう。バス転落事故と首吊り遺体に何の関係が?
浜本茂は何でも読むなぁ、「闇落ちBLの女王」丸木文華の初の一般向け小説『冷たい骨に化粧』。って、闇落ちBLって何だ。怖くて近寄れないわ。

連載

図書カードのお買い物は朝井リョウ。手際よく主催者やリクエストをくれた人に感謝しつつ、多くの本を紹介し、『頂きを目指して』に1ページを使う。プロの技やね。読書の量も半端なさそう。
「古本屋台」の2話目のラスト。混んでる店を見るミュージシャン夫婦。ちょっと…と言うか、かなり感動しました。
穂村弘は100冊以上読んだ作家が大藪春彦らしい。イメージが違いすぎて、へぇ…。私は一番多いの誰だろう、ロバート・B・パーカーが40冊くらい? 1冊も読んでないのは多過ぎて…。
♪akiraは「教皇選挙」。映画館で流れる予告でも面白そうでした。
和氣正幸は COUNTER BOOKS を紹介。学芸大学駅周辺には5店も本屋があるらしい。行ってみる。
小山力也によれば東京の最大古書店街は、早稲田、神保町、本郷、中央線沿いとか。
その一つ、神保町に中学生でデビューしたのが北原尚彦。彼の親切な注釈どおり、私は学生時代、初めて東京に来たとき神田駅で降り、何もなくて呆然としました。無理やり見つけた古本屋で荒俣宏の訳だったので『犯罪オンライン』を買った記憶。
須賀典夫と井上荒野のメオト暦は楽しく読んでいて、まさにこれこそ良いエッセイ。井上光晴の娘と知る。「あれの」と読むことも今知った。
北村薫は「翔んで埼玉」の「そこらへんの草」の名前がわかる会。おぉ。つなぎは『お楽しみはこれもなのじゃ』と『レモンとサクランボ』。単行本を持ってる北村薫もすごい。
服部文祥は超加工食品 UPF (Ultra Processed Food) について。要は加工食品全部が駄目で、普通に穀物、野菜、肉、魚を買って料理しろと。分かるけど全否定は難しい。
藤野眞功は日本の黒幕として三浦義一。知らない名前。
べつやくれいは『沖縄・宮古島 島尻の秘祭ウヤガン』を紹介。秘祭ぶりがいいし、ひかれ方がいい。
風野春樹は『愛と孤独のフォルクローレ』。「帰ってこられた人だけが、文化人類学者になれる」。だよね、好きになればなるほどね。
読み物作家ガイドは遠田潤子。厳しい読書になりそうで、うーん。そういえば『雪の鉄樹』で初めて重版がかかったと「本の雑誌」に感謝してましたね。

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