デューン 砂の惑星 [新訳版] – 壮大な背景の割にせせこましい話

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デューン 砂の惑星 [新訳版] / フランク・ハーバート / 酒井昭伸訳 / ハヤカワ文庫SF 全3巻 1120円+税、1080円+税 1080円+税
カバーイラスト: Sam Weber / カバーフォト: 加藤 彰 (K studio) / カバーアートディレクション & カバーデザイン: 久留一郎デザイン室 (03 STUDIO)
Dune by Frank Herbert, 1965

砂の惑星アラキスを治めたアトレイデス家は、皇帝とハルコンネン家の策略で公爵が殺され、息子のポールは母ジェシカと砂漠の民フレメンの中に逃避する。

38年ぶりの再読。新旧の映画の印象や、シリーズ後半のチンプンカンプンな展開から、勝手に辛気臭い話を予期していたら、敵も味方も、何ならベネ・ゲセリットの教母様も、内面をベラベラ喋る分かりやすい展開に驚きました。読みやすさに新訳が貢献している部分も多いのでしょう。
アラキスもリエトの父、パードット・カインズによって一部緑地化されているし、それを隠すために、振れ面はメランジの賄賂でギルドに衛星を飛ばさなくしているし。ベネ・ゲセリットの「壮大」な計画も、ポールの預言者ぶりも、なんて小さいんだ!? ラストなんて妾の嫁と姑の会話だからな…。

個人的には上巻のラストがクライマックス。未来が見え、ギルドマンと一体化し、ベネ・ゲセリットの策を見通す当たり。ジェシカを小さく思うのもいい。

以下、メモ
上巻
p.56 アリアの言葉がひどい。「若さと美貌が去ったのち、恍惚さと機知の泉が滾々と湧き出てくる」
p.75 フレメンが猛烈にくさい。だよなぁ。
p.109 核兵器。はるかな未来で核兵器かよ、と、映画では唐突感があって呆れていたのだけど、何と原作にあったのか。
p.432 血も涙もないハルコンネン男爵が、レトと二人きりの尋問を望む、「いくら敵でも、高貴な血筋の当主がこのような苦境に陥っているようす」と思うのが可笑しい。貴族って、こうなんだろう。
p.450 ここのアイダホの行動が不明。ユエにどういう指示を受けたら、ハルコンネンが攻めてきて、ポールが敵のソプターで殺されかけるのを容認して、別のソプターで近くを飛ぶなんてことができるのか。
p.454 l.3 ジェシカがいた。-> いった。
p.464 未来を見るギルドマンとの共通性が面白い。

中巻
p.95 ラッバーンも男爵が作ったのか。映画でのここらへんの簡素化は見事。
p.280 ジェシカも聖戦を望む敵、のくだりがいい。
p.320 プラーナ。「シン・仮面ライダー」を思い出したけど、元々あるサンスクリット語源の言葉らしい。

下巻
p.182 l.5 ポールが歩みよった。-> ポールに
p.302 l.4 30センチ上では … の意味が不明

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