破滅派 二号
破滅派 / 500円 / 2008年5月11日発行 / 2023年11月の文学フリマで購入
ロゴ:足立喜一郎 / 表紙:長谷川巧
手嶋淳「町」
町で撃たれた男を老夫婦が介抱する。男が恩返しを申し出ると、山に筍狩りに行きたいと言う。
記憶の断章をつなぎ合わせたような作品。作者の意図を汲み取れなかった。
ほろほろ落花生「RE:現代文(解答編)」
破滅派創刊号に掲載されたテスト問題の解答編。問題を読んだときはひねり過ぎてて、タイガー・ウッズなんてちっとも面白くない…と思っていたのに、解答編は冒頭の夜明けのスキャットの答案が素晴らしくて感動しました。他の人も真面目に取り組んでます。これだけ読んだ人は創刊号を買っちゃうのでは?
ちなみに『ぼくは君がなつかしい ほろほろ落花生全集』読むと、冒頭の「ここでは、解答送付者総数158名の中から、許可を得た4名について掲載している。」が嘘であることが分かります。解答しているのは(恐らく)破滅派同人かな。
紙上大兄皇子「鬼築家の素敵な食卓」
北海道の開拓民となった鬼築家は食い扶持に困っていた。ある日、父親は狩りに出かけ立派なおにくを持って帰る。
鬼築は鬼畜。仲良くなった太一が腑分けされているのが可笑しい。いや笑い事じゃないんだけど。
エマニュエル・イタ子「痛女痛信(最終回・イショ)」
唐突に最終回。ウェブ上の連載で晒し者になってんだですかね。もったいない。
竹之内温「ダブル・プラトニック・スウィサイド」
脅迫的に活字を追い続ける女性。自分の一生で読みきれない量の本から逃げるシーンが好き。自分で自分を追い詰めながら「一文字または一行を飛ばすような不貞は犯さなかった」のもいい。そして最後、あっさり目が覚めるのがまたいい。
『或阿呆の一生』は芥川龍之介全集で読んだけど、全集が後半どんどん面白くなくなった末に、死後ぽっと出てきて面白かった記憶があります。
高橋文樹「働きながらじゃ作家になれない、働くな!」
新潮新人賞受賞して1年たったころ、IT企業に就職したころのインタビュー。お金のためでなく(それもあるだろうけど)、破滅派の機能を増すスキル獲得のための就職だと語られます。この状況で、書き続けていたんだから、よほど心が強いです。カバーの「ほんとに破滅したら、終わっちゃうよね。」はこのインタビューから。あ、痛女痛信にもあったか。
児島啓祐「つけものいし」
蔵の中の桶につけられた女の上に、裸の男が「つけものいし」として置かれる。男の意識に女の言葉が滑り込む。
と書きましたがどれだけ読み取れているかは不明。冒頭はつけものが「わたしのこは、どこ?」と探しているんだな。
深川潮「娼婦の品格」
『女性の品格』のパロディかな。上品な文体で、得意の姿勢を持てとか、洋服、メイク、余ったコンドームの持ち帰り方等を、具体的に指導してくれます。「胸の小さな娼婦に騎乗位は向きません」とか。下巻予告の「室内DJになろう」が分からない。
大谷雅宏「たった一度の表情」
都市伝説によれば、夜 3:33 に TV の空きチャンネルには見たことのない表情をした自分が映るらしい。
タイツ「ハロー・ペティ」
春風のエッチ
山谷感人「K氏の休日・序」
女性の部屋を追い出されたぼくは K氏の家に押しかける。
山谷感人だ! とだけ。
柿人不知「春の思い出」
精神病院で、白いワンピースの長髪の女性と出会う。
だから「空想作家」なんだろうな。
伊須方里峰「祈られ、折られる」
就活をあきらめ、カンフーフィットネスをカルチャー教室に売り込んだ筆者は、NHKで宣伝を兼ねて実演することになる。
ノンフィクション ? 筆者が今でも何らかの形でカンフーに関わっていることをお祈りします。ところでお祈りメールを神社で売るアイデアは2008年なら早かったのでは?
佐藤「階下」
デリヘリ嬢の体験したSホテルの5の付く部屋での幽霊話し。
小堀龍一「右肩上がりの青春」
右かた上がりの文字を書く君への詩、なの?
32MB「沈黙の音の中で」
僕と、僕に力を注ぐ男「主人」の話。
私は勘の良さに関しては平均以下の人間なので、僕が何者なのかはわかりませんでした。