屍者の帝国 / 伊藤計劃✕円城塔 / 河出文庫 / 780円+税
カバーデザイン: 川名潤(prigraphics) / カバーフォーマット: 佐々木暁
死体に「霊素」を注入した「屍者」の利用が一般化している19世紀後半の英国。ワトソン博士は秘密機関「ウォルシンガム」の一員としてアフガニスタンに派遣される。
小説の中の人物が活躍する実に楽しい歴史改変もの。毎晩、わくわくしながら少しずつ読みました。ジェームス・ボンドとシャーロック・ホームズ好きには固有名詞がたまらない。「M」が誰のことかもすぐ分かります。
ただ一度読んだだけでは理解できない所も多く、何度も元に戻りながらの読書でした。もっともそれさえも楽しく、例えば屍兵の解剖シーンを読み直すと、はっとするような表現が敷き詰められていました。全体が分かった今読み返すと、また新しい発見がありそうです。ハドラーあたりは特に。