掃除婦のための手引書 / ルシア・ベルリン / 岸本佐知子訳 / 講談社 / 2200円+税
装幀 クラフト・エヴィング商會 (吉田浩美・吉田篤弘)
カバー著者写真 Buddy Berlin ((C)2018 Literary Estate of Lucia Berlin LP)
A Manual for Cleaning Women: Selected Stories by Lucia Berlin
意図して連作した訳ではないでしょうし、すべてが事実でもないのでしょうが、作者のどんな悲惨なことでも笑い話にしてしまえるのなら平気で話した感じが、そのまま小説になっています。人生を通した孤独や寂寥、恐怖、喜び、老いが感じられます。
文章はストレートなものと、遠くから観察する乾いて短い落ち着いた文章をふーんと追っていたら、ある文章や言葉で突然それまでとは別の情景を描かれて慌てるものと半々。冒頭の「エンジェル・コインランドリー店」も今読めばトニーだけでなく、わたしもアル中で孤独だし、「他人の苦しみがよくわかるなどと言う人は阿呆だからだ」は一般論でなく経験論とわかります。
カバーと造本が素晴らしく触感としても楽しめました。