悲劇のクラブ – 淡々とシリーズ終了

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悲劇のクラブ プロゴルファー リーの事件スコア 5 / アーロン & シャーロット・エルキンズ / 寺尾まち子訳 / 集英社文庫HM / 580円+税
表紙イラスト: カスヤナガト 装丁: 刈谷紀子(P-2hands)
On the Fringe by Aaron & Charlotte Elkins (2005)

リーは陸軍時代のゴルフコーチのウォリーから、ロイヤル・マウナケア・ゴルフ&カントリークラブ百年祭にゲストとして招待される。リーはグレアムとの結婚式も合わせ、介添え役のペグと共にハワイを訪れる。クラブ百年祭の最中、入会儀式に隠された秘密を知らせると公言した高齢の理事ハミッシュが殺害される。

シリーズ最終作とは知っていましたが、単にエルキンズ夫妻の執筆が止まっているだけで、期待した明確なエンディングはありません。結婚式は話の背景にあり、顔に傷のついたリーが心配する件と、最後の章にさらりと「シェルダン夫妻」と出てきますがそれくらいです。残念。

タイトルはうまいミスリードでゴルフの道具としてのクラブでなく、カントリークラブの方。クラブ内での悲劇ということです。
ただ中身はいつもどおり大して盛り上がらず、謎解きも、動機も平凡。地の会話も面白くなく、低調なシリーズにふさわしい(?)最終作。振り返ってみると唯一ゴルフのシーンを読ませる第4作『疑惑のスウィング』だけは夫アーロンの手が多かったのではないかな。ギデオンはここまでひどくありませんから。

少し面白かったのはグレアムの捜査姿勢(p.217)。殺人の動機なんていくらでもあるし、他人には計り知れないのだから、そんな心理的な憶測に頼らず、事実の積み重ねだけを重視すべし、というもの。そうですよね。

 

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