ビブリア古書堂の事件手帖 2 -栞子さんと謎めく日常- / 三上延 / メディアワークス文庫 / 530円+税
イラスト: 越島はぐ / デザイン: 荻窪裕司
シリーズの鍵となる栞子さんの母親が小出しにされます。最初は残した『クラクラ日記』や肖像画程度の謎の人物ですが、『UTOPIA』の回で古書の知識や推理の力も含めあらゆる部分が栞子さんに似ている(あるいは上回っている)こと、そして両者に共通の古本者特有の所有欲や独占欲が描かれます(智恵子さんの場合、単純な欲とは少し違う気もしますが…)。
ところで今回ざっと見直して初めて気付きましたが離婚って設定だったのですね。忘れてました。
本巻に登場する古書は『クラクラ日記』『時計じかけのオレンジ』『名言随筆 サラリーマン』『UTOPIA』。どの話も有名な作品、作者ですし、適度な長さの中、推理の部分だけでなく姉妹や親子の確執と、それが愛情や親しみと表裏一体であることをしっかり読ませてくれます。もちろん、栞子さんと大輔の関係もお約束の速度で前に進みます。1作目以上に良い作品。
ちなみに私はこの本で epi文庫の新版『時計じかけのオレンジ』が旧版と違うことを初めて知りました。