サイコ – 海外ホラーアンソロジー

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サイコ / ロバート・ブロック編 / 祥伝社文庫 / 857円+税
訳者: 白石朗、金子浩、田中一江、玉木亨、浜野アキオ
カバーデザイン: 中原達治
Robert Bloch’s Psychos edited by Robert Block, 1998

海外ホラー短編のアンソロジー。『サイコ』のロバート・ブロックの名前が付いているものの、原書完成間際で亡くなったため特にまえがき等の言葉はありません(代わりにホラー作家協会がコメントしている)。実際に読んだのは1年以上も前なのですがパラパラめくると思い出すものです。決して私の記憶が良いわけでなく、しっかりしたストーリー性や意外性に満ちた話しが多い証拠です。

 

以下、主な作品、面白かった作品のみ。

「第四解剖室」スティーヴン・キング。冒頭でタイトルは良いものの出来は今一つ。「八百万の神さま仏さま、南無八幡大菩薩さま」って原文はなんでしょう > 白石朗。おもしろいけど。
「とり憑かれて」チャールズ・グラント。淡々とした浮浪者のひとり語りがどこに向かうのだろうか…、と思った矢先に設定が見え、結末に。前半部、温かみのある夜の描写が好きです。
「大きな悪、小さな悪」デニース・M・ブラックマン。タイトルからネタバレですが、ナターシャの動機が見えないところがいい。肉欲表現の切り換えが効果的。
「交点」一人の女性を殺し続けるという設定。十分面白いが、論理的には破綻している気もします。
「死体屋」全編独特のムードに包まれた作品で好みです。
「生存者」全短編中、もっともストーリー性が強い作品。大量殺人で生き残った赤ん坊が大きくなり、事件を振り返る話しですが、しっかりラストを締めます。

 

以下は個人的なメモ。いずれも平均点以上。

「医師と弁護士とフットボールの英雄」フットボールの英雄がカウンセリングを受ける。
「祖父の記念品」屋根裏から祖父が殺したと思われる女性の頭部のホルマリン漬けが発見される。
「誘惑」つきあった女を殺していく。
「残響」テープレコーダーに残された女優の声。
「生命線」病床の老婆と娘の会話。
「非難の余地なし」赤ん坊
「敷物」バカバカしい話だが、面白い。
「サイコ・インタビュー」女性記者が老人をインタビューする。

 

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