本の雑誌 2013年2月号 (No.356) / 本の雑誌社 / 648円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
今月の一冊で紹介された『一四一七年 その一冊がすべてを変えた』。紀元前の『物の本質について』という現代科学に通じる危険書物が、中世キリスト教時代に600年間の禁書からどう復活し、ル ネサンスの引き金となるか。印刷技術がない時代の書物の貴重さも含め驚きが多そうな本です。
一方、斜め45度上を行く、室町時代の金持ちの衝撃の道楽を紹介するは復活の宮田珠己。。道楽とは、わざと絵の下手な人に絵を描かせ、しかし周囲 のお膳立て(紙や墨や道具や題字)は一流の人がやる、というもの。確かに場は盛り上がりそうですが、図工が苦手で、友達の顔を描き合うのが学生時代最大の 苦痛の私にはたまらない拷問です。
特集は「超専門出版の時代がきたぞ!」。各編集部の様子や編集者対談にどことなく余裕を感じるのは文中にあるオンリーワン所以か、そういう記事に したからなのか。どうぶつ社を惜しむ声や当事者の記事を入れてバランスをとっているようにも見えます。しかし「月刊下水道」に「月刊錦鯉」に「愛 石」…。業界やマニアはすごいな。
先月から始まった「プロフェッショナルの流儀」は面白い試みです。『ビブリア古書堂の事件手帖』を古書店主に、『トッカン』を税務署調査官にと、 お仕事小説を実際の職業人に読んでもらうというもの。これまでは「ある、ある」的な優しい感想が主ですが、『半落ち』にツッコミを入れた木村弁護士のよう な鋭い切り込み、特に話が成り立たなくなるようなものに期待します。
新刊ガイドでジョン・ル・カレとP・D・ジェイムズって時代はいつだよって感じですが矢口誠の言葉は魅力たっぷりです。佐久間文子はJ・K・ロー リングや『アルゴ』みたいなベストセラーでも上手い紹介をしますね。けど先月号で触れたエロ・バブル『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』はどうした い。
次回の特集は大森望。自他共に認める日本SF復興の立役者、でしょうが、まじっすか!?
# で、もう手元にありますが、29ページ。見開きグラビアや漫画付き。凄い。